Stevie Wonder
I Wish
- 作曲: WONDER STEVIE

I Wish - 楽譜サンプル
I Wish|歌詞の意味と歴史
基本情報
スティーヴィー・ワンダーが作曲・作詞した「I Wish」は、アルバム『Songs in the Key of Life』(1976)からのシングル。硬質なファンク・グルーヴと印象的なベースリフ、ホーンのリフで構成され、ポップ・チャートとR&Bチャートの双方で大ヒット、全米1位も獲得した。作曲者・作詞者はWONDER STEVIE。洗練と躍動を兼ね備えた、70年代ファンク/ソウルを代表する一曲である。
歌詞のテーマと意味
歌詞は、幼少期の無邪気さや家族・友人との思い出を回想し、時の流れに対する甘美な郷愁を描く。いたずらや学校行事、ダンスに胸を躍らせた日々を振り返り、現在の自分との対比から「当時に戻れたら」という切なる願いが繰り返される。個人的回想でありながら、誰もが共有できる普遍的なノスタルジアが核。軽快なグルーヴが感傷を過度にしないバランスを生み、喜びと郷愁が同居する独特の余韻を残す。
歴史的背景
1970年代半ば、ワンダーは社会性とポップ性を高度に両立させた創作期にあり、『Songs in the Key of Life』で頂点を迎える。「I Wish」はその中核曲の一つで、ダンスフロア直結のファンクと温かなメロディを結びつけ、アルバムの多面性を象徴。シンコペーションの効いたリズム、歯切れ良いホーン、クラビネットやシンセのレイヤーが、モータウン以降のアーバン・ファンクの進化を体現している。
有名な演奏・映画での使用
「I Wish」はワンダー自身のコンサートで長年の定番曲。大胆なブラスのキメとコール&レスポンスが映えるライヴ・アレンジで観客を熱狂させる。ポピュラー音楽への影響として、1999年のウィル・スミス「Wild Wild West」での公認サンプリングが特に著名で、原曲のリフとグルーヴが新世代に再提示された。映画での顕著な使用作品は情報不明だが、TV番組やイベントでの起用例は多いとされる。
現代における評価と影響
今日でもファンク/ソウルの代表曲としてDJやバンドのレパートリーに定着し、ベースやホーンの教材としてもしばしば取り上げられる。切れ味のある16ビートと覚えやすいモチーフは、R&Bのみならずポップやヒップホップにも広く引用され、サンプリング文化においても重要な参照点となった。商業的成功と長期的影響力を兼備する点で、時代を越えて評価は揺るがない。
まとめ
個人的な回想を普遍的な喜びへ昇華し、ファンクの推進力で聴き手を踊らせる——「I Wish」はその両立を最上級で実現した一曲である。緻密なグルーヴ設計と親しみやすいメロディ、そして時を超えるテーマ性が、初聴から現在まで色褪せない魅力を生み出している。名曲としての地位は確立され、これからも再解釈と継承が続くだろう。