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Duke Ellington's Sound Of Love

  • 作曲: MINGUS CHARLES
#スタンダードジャズ
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Duke Ellington's Sound Of Love - 楽譜サンプル

Duke Ellington's Sound Of Love|楽曲の特徴と歴史

基本情報

Duke Ellington's Sound Of Loveは、ベーシスト兼作曲家チャールズ・ミンガスによるバラード。デューク・エリントンへの敬愛と追悼の思いを込めて書かれ、ミンガスのアルバム『Changes One』(Atlantic、1975年)で初出とされる。作詞者は情報不明で、一般的にはインストゥルメンタルとして演奏されることが多い。キーや正式な形式は資料により異なるため情報不明だが、温かな旋律線と豊かなハーモニーが印象的で、ミンガス晩年を代表する名曲のひとつとして広く認知されている。

音楽的特徴と演奏スタイル

テンポはスロウからミディアム・スロウの間で扱われることが多く、長いフレーズと余白を生かした抒情的な歌い回しが要となる。旋律はホーンがユニゾンまたは和声で奏し、ピアノは豊かな和音と間合いで情感を支えるのが通例。イントロやエンディングで自由度の高いルバート処理が選ばれる場面も多い。ソロではダイナミクスの細やかな起伏が効果的で、無理な技巧より音色とサステインのコントロールが重要。ベースは歌心あるウォーキングとシンコペーションで流れを生み、ドラムはブラシを基調に繊細なブレンドで全体を包むと楽曲の魅力が引き立つ。

歴史的背景

1974年に逝去したジャズ界の巨人デューク・エリントンへのオマージュとして構想されたとされ、ミンガスが再び創造性の頂点に立った時期の象徴的レパートリーとなった。『Changes One』期のミンガスは、ジョージ・アダムス、ジャック・ウォルラス、ドン・プーレン、ダニー・リッチモンドらとともに緊密なアンサンブルを築き、本作もその結実のひとつである。哀惜だけでなく、エリントンの美学への共鳴を音で綴った点に、ミンガスならではの作曲家精神が宿る。

有名な演奏・録音

基準となる音源はミンガス自身の『Changes One』(1975年)。その後もミンガス関連のアンサンブル(Mingus Big BandやMingus Dynastyなど)がコンサートや録音で継続的に取り上げ、現代まで演奏機会が絶えない。インストゥルメンタルのバラードとして、多くのサックス奏者やトランペッター、ピアニストのレパートリーに入り、トリビュート公演でも選ばれることが多い。映画やテレビでの顕著な使用については情報不明。

現代における評価と影響

本曲はミンガス後期の美質を集約したバラードとして、ジャズ史的にも演奏現場でも高く評価されている。エリントン的エレガンスとミンガスの魂のこもった和声感が交錯し、学習者にとっては音色・間合い・ダイナミクスの練習に最適な教材ともなる。スタンダード・レパートリーの中でも情感表現の自由度が高く、リーダー公演でのバラード枠として選曲されることが多いのも特徴である。

まとめ

Duke Ellington's Sound Of Loveは、追悼という主題を超え、ジャズ・バラードの普遍的な美しさを体現する名作である。『Changes One』を軸に複数の名演に触れることで、旋律と沈黙、響きの奥行きが紡ぐ“愛の音”の本質が見えてくるだろう。