La Mesha
- 作曲: DORHAM KENNY

La Mesha - 楽譜サンプル
La Mesha|楽曲の特徴と歴史
基本情報
「La Mesha」は、トランペッターのケニー・ドーハム作曲によるジャズ・バラードの器楽曲。初出はジョー・ヘンダーソンのデビュー作『Page One』(1963, Blue Note)で、演奏はヘンダーソン(ts)、ドーハム(tp)、マッコイ・タイナー(p)、ブッチ・ウォーレン(b)、ピート・ラロカ(ds)。歌詞は存在せず、歌付き公式版は情報不明。
音楽的特徴と演奏スタイル
ゆったりしたテンポにのる叙情的な旋律が核。和声は豊かなテンションと内声進行で色彩を変え、シンプルな主題に陰影を与える。フレージングは間合いとダイナミクスが要で、ソロは音数を抑えた歌心が映える。ピアノの和声支えと管のコール&レスポンスが、静かな緊張感を持続させる。
歴史的背景
1960年代初頭、ハードバップからポスト・バップへ移る局面で、ドーハムは洗練された作曲術で存在感を示した。『Page One』では「Blue Bossa」「Recorda Me」と並び、本曲が抒情面を担う配置。ブルーノート黄金期の録音美と即興の構築性を体現する一編である。
有名な演奏・録音
基準となる名演は『Page One』のオリジナル録音。ヘンダーソンのテナーが柔らかく主題を歌い、ドーハムのソロが詩情を深める。以降、演奏例は多いが、代表盤を網羅するディスコグラフィは情報不明。いずれも音量コントロールと音価の置き方が評価点となる。
現代における評価と影響
現在もバラード・レパートリーとして教育現場やセッションで取り上げられ、旋律の美しさと和声運びの学習素材として有用。トランペットやテナー奏者が音色の深み、ヴィブラート、ブレスの位置を磨く題材として重宝される。録音研究ではオリジナルの間合いと音量設計がしばしば参照される。
まとめ
「La Mesha」は派手さよりも余白の美を伝える一曲。寡黙な主題、緻密な和声、対話的アンサンブルが相まって、時代を超える静謐さを生む。初学者には音数を絞った歌い方を、上級者には和声の解像度と間の設計を課す、滋味深いスタンダードとして位置づけられる。