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Lonely Town

  • 作曲: BERNSTEIN LEONARD
#スタンダードジャズ
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Lonely Town - 楽譜サンプル

Lonely Town|楽曲の特徴と歴史

基本情報

「Lonely Town」は、レナード・バーンスタインが作曲し、ベティ・コムデンとアドルフ・グリーンが作詞した舞台曲。1944年初演のブロードウェイ・ミュージカル「On the Town」に収められ、主人公が大都会の喧噪の中で感じる孤独を吐露する内省的なバラードとして位置づけられる。原初の歌唱キャスト名は情報不明だが、舞台・コンサートの両領域で独立曲として取り上げられ、現在ではジャズ・スタンダードとしても広く演奏されている。

音楽的特徴と演奏スタイル

バーンスタイン特有のクラシックとジャズ語法の融合が際立ち、穏やかなテンポの中でメロディは切ない半音進行やため息のような下行形を織り込む。和声は短調と長調の揺れ、拡張和音、内声のクロマティックな動きが情感を深める。ジャズの現場ではラブバラードとして演奏され、自由なルバートの前奏から、ブラシを使ったスロースウィングや3連系のバラード・フィールへ移るアレンジが定番。劇中の「Lonely Town: Pas de Deux」など器楽版も知られ、管弦の色彩で都市の孤独を描き出す。

歴史的背景

第二次大戦下のニューヨークを舞台に、水兵たちの24時間の上陸休暇を描く「On the Town」は、作曲バーンスタイン、作詞コムデン&グリーン、振付ジェローム・ロビンズという若い才能の結集で生まれた。戦時の高揚と不安が交錯する時代感のなか、「Lonely Town」は群衆の都市でこそ募る孤独というテーマを端的に響かせ、ミュージカルに心理的陰影をもたらした。

有名な演奏・録音

オリジナル・ブロードウェイ・キャスト録音(年次情報不明)に加え、フランク・シナトラが1957年のアルバム「Where Are You?」で取り上げ、深い弦楽伴奏とともに名唱を残した。管弦楽では、組曲やバレエ音楽としての抜粋がコンサート・レパートリーに定着し、バーンスタインゆかりのオーケストラによる録音も多い。ジャズ・シーンでもピアノ・トリオや歌伴で定番化している。

現代における評価と影響

今日では、ミュージカル・ナンバーとジャズ・バラードの両側面を持つ「二重の顔」が評価され、音大や演劇学校のレパートリー、歌唱・伴奏の教材としても採用されることが多い。都会の孤独という普遍的主題、そして移ろう和声の美しさが世代を超えて響き、バーンスタイン作品群の中でも“静かな名曲”として位置づけられている。記念年の公演やガラ・コンサートでも再演の機会が多い。

まとめ

「Lonely Town」は、1944年生まれのブロードウェイ曲でありながら、豊かな和声と言葉の切実さによって時代を超えて演奏され続ける。舞台でも、ジャズ・クラブでも映える柔軟性こそが魅力であり、バーンスタインの作曲家としての幅広さを示す代表曲の一つといえる。