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Mating Call

  • 作曲: DAMERON TADD
#スタンダードジャズ
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Mating Call - 楽譜サンプル

Mating Call|楽曲の特徴と歴史

基本情報

Mating Callは、ビバップ期を代表する作曲家・編曲家タッド・ダメロン(Dameron Tadd)によるインストゥルメンタル曲。初出はジョン・コルトレーンとの共演アルバム『Mating Call』に収録された録音で知られ、少人数編成による室内楽的な密度と、歌心あるメロディで評価されている。楽曲の正式な出版年・初演情報は情報不明だが、1950年代半ばのダメロン円熟期に書かれたレパートリーとして位置づけられる。

音楽的特徴と演奏スタイル

ダメロン特有の滑らかなボイスリーディングとロマンティックな和声色彩が核心。主題は端正で口ずさみやすく、ソロはビバップ語法に基づきながらも、過度な技巧に寄らず旋律線の美しさを保つ。ピアノは内声処理で和声進行を立体化し、サックスはレガート主体で歌う解釈が好相性だ。テンポや調性、形式の詳細は情報不明だが、和声の転回や代理和音を生かした進行が、演奏者に精緻なフレージングとダイナミクス設計を要求する。

歴史的背景

タッド・ダメロンは、ビバップの鋭さとスウィングの歌心を架橋した存在で、ハードバップ前夜の美学形成に大きく寄与した。Mating Callは、その作曲術が小編成で結晶化した一例であり、同時代のサックス奏者の語法とも呼応。ジョン・コルトレーンとの共演録音により、ダメロンの書法が次世代へ橋渡しされたことが確認できる。アレンジャー的視点が楽曲設計に強く反映され、後続のモダン・ジャズ作編曲に影響を及ぼした。

有名な演奏・録音

基準となるのは、コルトレーンを迎えたアルバム『Mating Call』の版本で、作曲者自身のピアノと対話する形で楽曲の本質を提示する。以後も一部のジャズ奏者が取り上げているが、網羅的なディスコグラフィや突出したカバーの代表例は情報不明。まずは初出録音を基準に、編成やテンポの異なる解釈を聴き比べると、メロディと和声の柔軟性が見えてくる。

現代における評価と影響

Mating Callは、極端な技巧より“歌う”ことを促すダメロン流の作曲哲学を体現し、教育現場や現場のミュージシャンにとって和声運用の好例として参照される。大定番曲ほどの演奏頻度ではない場合もあるが、内声処理と余韻のあるメロディを学ぶ教材として価値が高い。ダメロン作品群(例:On a Misty Night 等)と併せて扱うことで、作曲語法の共通項が把握しやすくなる。

まとめ

ダメロン作曲のMating Callは、歌心と洗練を兼ね備えたインストゥルメンタル。詳細な形式・出版情報は情報不明ながら、初出録音を通じて作曲者の和声感覚と小編成での響きの設計が明瞭に伝わる。現代でも学習・鑑賞双方で意義があり、ダメロン流モダン・ジャズの美点を端的に示す一曲である。