Minha Saudade
- 作曲: DE OLIVEIRA NETO JOAO DONATO,DONATO JOAO

Minha Saudade - 楽譜サンプル
Minha Saudade|楽曲の特徴と歴史
基本情報
「Minha Saudade」は、ブラジルの作曲家João Donatoによるボサノヴァ/サンバ・ジャズの代表曲。形式や初出年は情報不明だが、インストゥルメンタルとしての演奏が広く定着している一方、歌唱版も存在するとされる。作詞者は情報不明。現在はジャズ・スタンダードとして世界各地で親しまれている。
音楽的特徴と演奏スタイル
中庸のサンバ・グルーヴに乗る軽やかな旋律と、柔らかな拡張和音が特徴。ピアノまたはギターがシンコペーションを要にリズムを細やかに刻み、メロディはミニマルな動機を反復しながら滑らかに推進する。ソロではハーモニーの色彩変化を活かし、抑制されたダイナミクスで余白を聴かせる演奏が好まれる。アレンジ面ではテンポや編成の可変性が高く、トリオからコンボまで適応しやすい。
歴史的背景
1950年代末〜60年代初頭、リオのクラブ文化から生まれた新感覚のボサノヴァが国際的に注目を集める中で、本曲もジャズ・ミュージシャンに取り上げられ広まった。ブラジルの作編曲家としてのDonatoの洗練されたセンスが、アメリカのハード・バップ以降の語法と自然に結び付いたことが普及の追い風になった。欧米のジャズ層に届いたことで、インスト曲としての生命力が強まり、セッション・レパートリーへと定着した。
有名な演奏・録音
作曲者自身による録音(João Donato『Muito À Vontade』ほか)は、端正で粒立ちの良いピアノが基調。米国ではCannonball Adderleyの『Cannonball’s Bossa Nova』で取り上げられ、ボサノヴァとジャズの交差点を象徴するレパートリーとして定着した。以後、さまざまなトリオ編成やギター・デュオでも再演が重ねられている。特定の映画使用については情報不明。
現代における評価と影響
セッション現場でも扱いやすい和声進行と明快な主題により、入門者から上級者まで幅広く愛奏される。アレンジの自由度が高く、テンポや編成を変えても曲の個性が損なわれにくい点が評価され、教育現場やリサイタルの定番曲としての地位を保っている。ボサノヴァとモダン・ジャズの語彙を橋渡しする教材曲としても重宝される。
まとめ
繊細なリズム設計と親しみやすい旋律が同居する「Minha Saudade」は、ボサノヴァ/サンバ・ジャズの美点を凝縮した一曲。初出年や作詞者などに一部情報不明点はあるものの、名演の蓄積によってスタンダードとして不動の位置を築いている。インストゥルメンタルでも歌唱でも魅力が損なわれず、今後も長く演奏され続けるだろう。