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A Night In Tunisia

  • 作曲: GILLESPIE JOHN DIZZY, PAPARELLI FRANK
#ラテン#スタンダードジャズ
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A Night In Tunisia - 楽譜サンプル

A Night In Tunisia|楽曲の特徴と歴史

基本情報

『A Night In Tunisia』はDizzy GillespieとFrank Paparelli作のジャズ・スタンダード。邦題「チュニジアの夜」と表記されることがある。発表年は情報不明。主にインストゥルメンタルだが、後年に歌詞付きヴォーカル版も生まれ、セッションの定番として広く親しまれている。多くの編成で取り上げられ、コンボからビッグバンドまで対応できる柔軟なレパートリーとして認知されている。

音楽的特徴と演奏スタイル

最大の特徴は、ラテン的なアフロ・キューバンのオスティナートと、スウィングするブリッジが対照を成す二面性。イントロやA部の強靭なリズムに対し、B部ではビバップらしい密度の高い進行が現れ、即興の巧拙が問われる。印象的なブレイクと拡張和音がソロの可能性を広げ、テンポは中速から高速まで幅広い。リズム・セクションはクラーベ感を意識したグルーヴ作りが鍵で、管楽器はブレイクの呼応やダイナミクスの設計が効果的。

歴史的背景

本曲はビバップ勃興期に生まれ、ガレスピーのバンドや周辺セッションで定着した。原題は「Interlude」として知られ、その後現在のタイトルが一般化。ビバップの和声語彙に当時注目されたアフロ・キューバン要素を融合した試みとして位置づけられる。ニューヨークのモダン・ジャズの潮流を象徴する代表曲となり、演奏現場での実践を通じて急速に広まった。具体的な初出年は情報不明。

有名な演奏・録音

ディジー・ガレスピー自身のビッグバンド/コンボ録音は基準点。チャーリー・パーカー参加のセッション、バド・パウエルの鋭いピアノ解釈、アート・ブレイキー&ザ・ジャズ・メッセンジャーズの力感あふれるライヴ版が特に著名。さらに、エラ・フィッツジェラルドやサラ・ヴォーンによるスキャット/歌詞付きのヴォーカルも広く聴かれている。トランペット、サックス、ピアノなど各楽器での名演が多く、解釈の幅広さを示す好例が豊富だ。

現代における評価と影響

今日でもジャム・セッションや音楽教育の現場で定番。ラテン・フィールから4ビートへの切替、ブレイクへの反応、B部のライン構築など、多面的なスキルを養える教材として重宝される。ラテン・ジャズやビッグバンド、現代ジャズの再解釈も多く、テンポや編成、イントロ/エンディングの工夫で個性を出しやすい。アレンジャーにとっても、対照的な質感をどう配合するかの実験台となる楽曲である。

まとめ

アフロ・キューバンとビバップを架橋した『A Night In Tunisia』は、明確なコントラストと即興性で世代を超えて愛される。構成の起伏とリズムの推進力が聴き手を惹きつけ、演奏者には高度な反応力を要求する。名演を参照しつつ、自身のリズム設計とダイナミクスで物語性を引き出せば、定番でありながら新鮮な一曲として響かせることができる。