Straight Up And Down (Corea)
- 作曲: COREA CHICK

Straight Up And Down (Corea) - 楽譜サンプル
「Straight Up And Down (Corea)|楽曲の特徴と歴史」
基本情報
Straight Up And Down は、ジャズ・ピアニスト/作曲家チック・コリア(Chick Corea)によるインストゥルメンタル作品。初出はアルバム『Tones for Joan’s Bones』に収録された録音(録音年1966、発売年情報不明)で、同作のオリジナル曲群の一つとして位置づけられる。歌詞は存在せず、編成はホーンを含むコンボ編成(ピアノ、ベース、ドラム、トランペット、サックス)で演奏された。曲の形式、調性、拍子の詳細は情報不明。作曲者クレジットは COREA CHICK。
音楽的特徴と演奏スタイル
本曲は、コリアの初期語法を象徴するシャープで角度のあるテーマと、モーダル志向を帯びたハーモニーが特徴。ホーンのユニゾン/ハーモニーによる緊密な主題提示と、ピアノのクリスプなコンピングが呼応し、ポスト・バップ期の推進力あるグルーヴを作り出す。ソロは動機の反復やインターバルの跳躍を核に、緊張感の高いライン構築が映える。テンポ設定は演奏者に委ねられるが、キレの良いアーティキュレーションと明瞭なフォーム感が求められる点で、実践的なアンサンブル・チューンとして機能する。
歴史的背景
1960年代半ば、ニューヨークのモダン・ジャズ・シーンで頭角を現したコリアは、サイドマン活動と並行して作編曲家としての個性を確立しつつあった。『Tones for Joan’s Bones』に収められたオリジナル群は、その後の「Matrix」「Litha」などへ連なる作風の原型を示し、アコースティック期の到達点へと至る重要な起点となった。本曲も同時期の創作の中核に置かれる一曲として記録されている。
有名な演奏・録音
もっとも参照されるのはコリア自身の『Tones for Joan’s Bones』でのオリジナル録音。加えて、ブルー・ミッチェルの『Boss Horn』で取り上げられた演奏が知られる。ほかの著名カバーの体系的リストは情報不明だが、これらの音源は本曲のキャラクターを掴む上での基準点といえる。再録・ライブでの詳細な変遷、出版譜の版情報、標準的キーの定説は情報不明。
現代における評価と影響
Straight Up And Down は、コリアの初期作曲スタイル—鋭い主題設計、モーダルな設計思想、アンサンブル重視の構築—を明快に示す楽曲として評価される。ジャズ教育や研究の文脈でも、60年代後半のポスト・バップからモーダル以降への過渡期を理解する手掛かりを与える曲として参照されることがあるが、具体的なカリキュラム採用状況は情報不明。名曲「Spain」などの超定番と比べ知名度は相対的に控えめながら、作曲家コリアの源流を知る重要曲として位置づけられる。
まとめ
本曲は、歌詞を持たないコンボ編成のインストゥルメンタルで、コリア初期の創作美学を端的に示す。『Tones for Joan’s Bones』での記録と、ブルー・ミッチェルによる演奏が主要な参照点であり、60年代後半ジャズの文脈を学ぶうえでも有用だ。詳細な形式や出版情報は情報不明な点が残るが、コリア作品群の理解を深める手がかりとして聴取価値は高い。