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Teru

  • 作曲: SHORTER WAYNE
#スタンダードジャズ
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Teru - 楽譜サンプル

Teru|楽曲の特徴と歴史

基本情報

Teruは、サックス奏者・作曲家ウェイン・ショーターによるインストゥルメンタルのジャズ作品。初出はブルーノートから発表されたアルバム『Adam's Apple』(1966)で、ショーターの円熟した作曲語法が結晶した一曲として知られる。歌詞の存在は確認されておらず、作詞者は情報不明。調性、曲構成の厳密な情報は公的資料に限りがあるため情報不明だが、オリジナル録音は落ち着いたテンポで、抒情的なテーマを中心に展開する。

音楽的特徴と演奏スタイル

ショーター特有の凝縮されたモチーフ、余白を生かしたフレージング、機能和声に依存しすぎない浮遊感のあるハーモニーが魅力。テーマは歌心に富み、過度な装飾を避けたミニマルな旋律線が印象を深める。ピアノの和声は内声の動きで色彩を変え、ベースは堅実なラインで静かな推進力を与える。演奏では、音価を長めにとるレガートと、フレーズ間の間合いを丁寧に扱うことが効果的。テンポはミディアムスローが基調とされることが多く、ソロはモーダルな発想とモチーフ展開の両立が鍵となる。

歴史的背景

1960年代半ば、ショーターはブルーノートでのリーダー作と並行して、マイルス・デイヴィス・クインテット在籍期に革新的な即興言語を築いていた。Teruが収められた『Adam's Apple』(1966)は、その創作期の中心に位置し、ハードバップからポストバップへと至る過程での作曲美学—簡素な主題に多義的な和声を与え、即興で広げる方法—を端的に示している。曲名の語源や献呈先は公的には情報不明だが、アルバム全体の文脈では「歌える」旋律と前衛性の均衡を担う役割を果たしている。

有名な演奏・録音

基準となるのは、ウェイン・ショーター『Adam's Apple』(1966)のオリジナル録音。編成はショーター(ts)、ハービー・ハンコック(p)、レジー・ワークマン(b)、ジョー・チェンバース(ds)。端正なテーマ提示と静かなダイナミクス設計、ハンコックの多彩なヴォイシングが示す解釈は、後続の演奏家にとって参照点となっている。以降の他アーティストによる広範な公式カバーの体系的リストは情報不明だが、ショーター作品集の一曲として取り上げられる例は少なくない。映画・映像作品での明確な使用実績は情報不明。

現代における評価と影響

Teruは「Footprints」ほどの一般的知名度こそないが、ショーターの抒情性と構築性を学ぶ教材的レパートリーとして評価が高い。テーマの簡潔さは再ハーモナイズや異なるテンポ解釈を受け入れやすく、教育現場でも分析対象となることがある。プロの現場ではセット中の陰影を付けるバラード/ミディアム枠として選曲され、作曲と即興の有機的な結び付け方を示す実践例として影響を残している。

まとめ

Teruは、ウェイン・ショーターの作曲家としての成熟を象徴する静謐で深い一曲。余白と色彩で語る音楽観が凝縮され、オリジナル録音は今なお解釈の指標となる。確定情報が限られる点はあるものの、演奏者にとっては表現の幅を広げる良質な素材であり、リスナーにはショーター美学の核心に触れられる入口となる。