SERGIO MENDES & BRASIL’66
Pretty World (SA MARINA)
- 作曲: SABOIA ANTONIO ADOLFO MAURITY,GASPAR TIBERIO

Pretty World (SA MARINA) - 楽譜サンプル
Pretty World (SA MARINA)|歌詞の意味と歴史
基本情報
「Pretty World(Sá Marina)」は、ブラジルの作曲家アントニオ・アドルフォとティベリオ・ガスパールによる楽曲。原題はポルトガル語の「Sá Marina」で、のちに英語詞が付けられ「Pretty World」として国際的に知られるようになった。英語詞はアラン・バーグマン/マリリン・バーグマンが担当。ボサノヴァやMPB(ブラジル大衆音楽)の香りを持つメロディと、軽やかなリズムが魅力で、1960年代末以降に多数の歌手・グループが取り上げた。
歌詞のテーマと意味
英語版の歌詞は、ふたりで築く理想の小さな世界を、光や風景のイメージで優しく描くロマンティックな内容。現実逃避ではなく、日常の中に「美しい世界」を見出す姿勢を肯定し、ポジティブで包容力のあるメッセージが核となっている。直接的な社会言及は少なく、普遍的な愛と希望を短いフレーズで印象的に積み上げる点が特徴。比喩や自然のイメージを用いて、聴き手の心象風景を喚起する書法が際立つ。
歴史的背景
原曲「Sá Marina」はブラジルで生まれ、その後英語詞が付与されて世界的に広がった。1960年代後半は、ボサノヴァから派生した多彩なポップ・クロスオーバーが国際市場で注目を集めた時期で、本曲もその潮流の中で親しみやすいメロディと洗練されたハーモニーにより受容された。作編曲のセンスと、ラテンのリズム感をポップ文脈へ橋渡しする構造が、国境を超える普遍性を生んだと評価される。
有名な演奏・映画での使用
「Pretty World」は、Sérgio Mendes & Brasil ’66 による録音で広く知られるようになり、柔らかなヴォーカルと流麗なアレンジが国際的な人気を後押しした。原曲「Sá Marina」はブラジルのシンガーによる録音で早くから親しまれ、以後、英語・ポルトガル語の双方で多くのカバーが生まれている。一方、特定の映画やドラマでの顕著な使用については情報不明。なお、ジャズ~ラウンジ系のアーティストによるライヴ・レパートリーとしても定着している。
現代における評価と影響
今日では、ボサノヴァ/MPBとポップスの架け橋となったソングライティングの好例として再評価が進む。軽快なテンポでも情感が失われない旋律設計、シンコペーションを活かした伴奏、口ずさみやすい英語詞の相性の良さは、現在のシティポップ文脈やカフェ・ミュージックのプレイリストでも映える要素だ。世代や言語を超えて歌い継がれ、スタンダード的な扱いを受ける機会が増え続けている。
まとめ
「Pretty World(Sá Marina)」は、ブラジル発の美しいメロディを英語詞が普遍化し、世界的な人気を獲得した楽曲である。愛と希望を簡潔に伝える歌詞、ボサノヴァ/MPB由来の洗練、そして多彩なカバーが、その生命力を証明している。映画での使用は情報不明だが、ライヴや録音で愛される定番曲として今後も聴かれ続けるだろう。