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Things Ain't What They Used To Be

  • 作曲: ELLINGTON MERCER
#スタンダードジャズ
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Things Ain't What They Used To Be - 楽譜サンプル

Things Ain't What They Used To Be|楽曲の特徴と歴史

基本情報

「Things Ain't What They Used To Be」はMercer Ellington作曲として広く知られるジャズの定番曲。初出は1940年代前半のデューク・エリントン楽団で、以後ビッグバンドから小編成まで幅広く演奏されるインストゥルメンタル。タイトルは「昔とは違う」という意味だが、歌詞付きで歌われることは稀で、主に器楽曲として流通している。映画や特定メディアでの使用については情報不明。セッションでも頻出し、共通語として機能する実用度の高いレパートリーだ。

音楽的特徴と演奏スタイル

形式は12小節のブルース進行。シンプルで覚えやすいリフ・メロディを核に、スウィングのグルーヴでソロを回すのが定番だ。テンポはミディアムからアップまで幅広く、ビッグバンドではサクソフォン・セクションとブラスの呼応が映え、小編成ではウォーキング・ベースとコンピングが推進力を生む。アレンジ自在性が高く、イントロのリフ延長やコーダでのフェルマータなど、場面に応じた構成が取りやすい点もセッション曲としての強みである。

歴史的背景

作曲は第二次大戦期のアメリカ、スウィング黄金期の末期に位置づけられる。エリントン楽団のレパートリーとして広まったのち、戦後のモダン・ジャズ台頭期にも継続して演奏され、時代の架け橋となった。タイトルが示す“変化”というニュアンスは、楽団のスタイル変遷やジャズシーンの過渡期とも共鳴し、ブルース語法に根差しつつも普遍的な魅力を保ち続けている。出版年は1942年とされるが、詳細な初演記録は情報不明である。

有名な演奏・録音

デューク・エリントン楽団による各種録音は定番の参照源。ジョニー・ホッジスとの共演盤「Back to Back」では、円熟のブルース・フィールが堪能できる。ピアノ・トリオ領域でも頻繁に取り上げられ、オスカー・ピーターソンの名演はリズムのドライブ感とフレージングの妙で知られる。さらに数多くのビッグバンド、大学ジャズ、クラブ・シーンのセッションで現在も更新され続けている。

現代における評価と影響

本曲は教育現場でも活用され、ブルース進行でのスウィング、コードトーン志向のアドリブ、リフ・アレンジの基礎を学ぶ教材として定着。キーは編成や奏者により可変だが、いずれも構造が明快で、初心者から上級者まで応用が利く。ジャム・セッションの共通曲として世代とスタイルを越え、ジャズの語彙を共有するプラットフォームの役割を果たしている。

まとめ

「Things Ain't What They Used To Be」は、簡潔なリフと12小節ブルースという普遍の器で、時代を超えて磨かれてきたジャズ・スタンダードだ。学習・実演の双方で価値が高く、今日もステージとセッションで生き続ける。情報不明な点は残るものの、楽曲の核は変わらず、多様な解釈を受け止める懐の深さが支持を集めている。