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Two For The Road

  • 作曲: MANCINI HENRY NICOLA
#洋楽ポップス#スタンダードジャズ#ムードミュージック#映画音楽
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Two For The Road - 楽譜サンプル

Two For The Road|作品の特徴と歴史

基本情報

「Two For The Road」は、作曲家ヘンリー・ニコラ・マンシーニ(MANCINI HENRY NICOLA)が1967年公開の映画『いつも二人で』(原題:Two for the Road)のために書いたテーマ曲である。作詞はレスリー・ブリカッセによるヴォーカル版も存在するが、作品としては映画音楽=スコアの中心的モチーフとして広く知られる。端正なメロディと洗練された編曲はマンシーニの代表的作風を体現し、単体楽曲としても人気が高い。

音楽的特徴と表現

穏やかで流麗な旋律線を核に、和声進行の彩りで感情の陰影を描くのが本テーマの要諦。ストリングスと木管を主体とする柔らかな音色に、控えめなリズムが寄り添い、場面に応じてテンポやダイナミクス、オーケストレーションが変奏される。透明感のある音響は親密さや郷愁を喚起し、ときに半音階的な動きや和声の転調で旅路の不確かさや心の揺らぎを示唆する。旋律の可塑性が高く、インストゥルメンタルでも歌唱でも自然に息づく点が特徴である。

歴史的背景

1960年代後半のハリウッドでは、大人の関係性を洗練された語り口で描く作品が増えた。スタンリー・ドーネン監督の『いつも二人で』は、時間軸を交差させて夫婦の歩みを映す構成を採り、音楽は転換点や感情の地合いを指し示す機能を担った。ブレイク・エドワーズ作品で名声を確立したマンシーニは、本作でもジャズの感性とクラシカルな語法を橋渡しし、映画音楽のモダンな表現を提示している。

使用された映画・舞台(該当時)

本テーマはタイトルや主要な場面など物語の要所で繰り返し現れ、観客に時間と感情の座標を与える。親密な会話を支える静謐なアレンジから、距離感や皮肉を滲ませる処理まで、同一モチーフが多面的に用いられ、映像編集のリズムと緊密に呼応する。歌詞付きヴァージョンは劇中での中心的機能ではないが、作品世界を象徴する別形態として認知されている。

現代における評価と影響

公開後、テーマは映画音楽の名旋律として定着し、サウンドトラックの再発やコンサート・レパートリーで継続的に支持を得てきた。ヴォーカル版も多くの歌手・ジャズ奏者に取り上げられ、その可憐で覚えやすい旋律はスタンダード的な位置づけを獲得。マンシーニの配合するジャズ感覚とオーケストラ書法は、後続の作曲家がロマンティックなロードムービーの音楽を設計する際の参照点となり、今日でも編曲家・演奏家の再解釈を誘発し続けている。

まとめ

「Two For The Road」は、成熟した感情の機微を音で語るマンシーニの手腕を端的に示す一篇である。映画の文脈に深く根差しつつ、単独楽曲としても完結した美しさを備え、半世紀を経ても色褪せない普遍性を持つ。映画音楽の抒情性と機能性を両立させた、時代を超えるテーマと言える。