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We'll Be Together Again
- 作曲: FISCHER CARL

We'll Be Together Again - 楽譜サンプル
We'll Be Together Again|楽曲の特徴と歴史
基本情報
「We'll Be Together Again」は、作曲カール・フィッシャー、作詞フランキー・レインによる1945年発表のバラード。英題のとおり“また会える”という希望を静かな抒情で描く。ジャズ・ヴォーカル/器楽の双方で広く親しまれ、歌本やリードシートにも定着したスタンダードである。歌詞の全文は著作権の都合で割愛するが、別れの切なさと再会の約束を対置する構成が印象的だ。
音楽的特徴と演奏スタイル
テンポはスロー〜ミディアムのバラードが一般的。穏やかな旋律線に寄り添うリッチな和声が特徴で、ルバートの自由なイントロからレガートで歌い上げる解釈がよく用いられる。ピアノやギターはサステイン豊かなヴォイシングで間合いを活かし、ホーンは“歌う”フレージングで大きなブレスを設計。ダイナミクスは控えめに始め、ブリッジや終盤でわずかに盛り上げてから柔らかく着地するアプローチが効果的だ。器楽版でも歌詞の情感を踏まえたコール&レスポンスや長いテール音で余韻を作る演出が映える。
歴史的背景
作曲者カール・フィッシャーは当時、歌手フランキー・レインのピアニスト/音楽監督として活動。本作は二人のコラボレーションから生まれ、戦後のアメリカで高まったラブ・バラード需要とともに広まった。1945年の出版後、ラジオやクラブ・シーンで取り上げられ、やがてアメリカン・ソングブックの一角として確かな地位を獲得していく。
有名な演奏・録音
オリジナルの歌い手であるフランキー・レインの録音に加え、フランク・シナトラが1956年の名盤『Songs for Swingin' Lovers!』で取り上げ、広く知られるようになった。以降、数多くのジャズ・シンガーやサックス、トランペット奏者がレパートリーに採用。ビッグバンドのバラード特集や小編成の深い対話を聴かせるステージでも定番曲として扱われ、録音・配信の新譜でも継続的にカバーが見られる。
現代における評価と影響
別れと再会をめぐる普遍的なテーマ、シンプルで語りやすい旋律、感情のニュアンスを生かせる和声進行が評価され、教育現場ではバラード解釈やディクション、ダイナミクス設計の教材として用いられる。コンサートでは物語の転換点やアンコール前の心落ち着く一曲として重宝され、記念式典やウェディングなどでも選曲されることがある。
まとめ
「We'll Be Together Again」は、静かな希望を丁寧に紡ぐジャズ・バラードの名品。派手さはないが、メロディとメッセージの強度で聴き手の記憶に残る。ヴォーカルにも器楽奏者にも表現の幅を与える一曲として、今なおスタンダードの核心に位置している。