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On Green Dolphin Street
- 作曲: KAPER BRONISLAW

On Green Dolphin Street - 楽譜サンプル
On Green Dolphin Street|楽曲の特徴と歴史
基本情報
「On Green Dolphin Street」は、作曲家ブロニスラフ・カパーが手がけ、1947年の映画「Green Dolphin Street」の主題歌として発表された。作詞はネッド・ワシントン。原曲は歌ものだが、ジャズ界では主にインストゥルメンタルで演奏され、現在はレパートリー定番のジャズ・スタンダードとして広く浸透している。
音楽的特徴と演奏スタイル
多くの場合32小節のABAC形式として扱われ、Aセクションでラテン・フィール、BやCで4ビート・スウィングへ切り替える定番構成が親しまれる。Imaj7と♭IImaj7を往還するヴァンプや、ベースのペダルがもたらす推進力が特徴的。リハーモナイズやモーダルな解釈にも耐え、ソロの設計自由度が高い。イントロや間奏でヴァンプを拡張するアレンジも定番で、ダイナミクスの起伏を作りやすい。
歴史的背景
ハリウッドで活躍したカパーは映画音楽に多くの名作を残し、本曲もその一つ。公開当時は映画主題歌として知られたが、1950年代後半に小編成ジャズで取り上げられる機会が増え、クラブやラジオを通じて定着。やがてセッションの常用曲となり、教育現場でも取り上げられる頻度が高まり、リードシート集にも標準掲載されるようになった。
有名な演奏・録音
決定版の一つに数えられるのがマイルス・デイビスの録音で、透明感あるイントロとテンポ感の対比が曲の魅力を際立たせた。ビル・エヴァンス・トリオの深いハーモニー処理、アーマッド・ジャマルやオスカー・ピーターソンのスウィンギーな解釈、スタン・ゲッツやキース・ジャレットらサックス/ピアノ陣の名演も高評価。歌詞付きのボーカル版も多数存在し、楽曲の幅広さを示している。
現代における評価と影響
ラテンとスウィングの二面性、鮮烈なヴァンプ、明快なメロディという要素が、アレンジと即興双方の教材として有用とされる。大学のジャズ・プログラムやビッグバンドでも頻繁に扱われ、プロ・アマ問わずセッションでの共通言語として機能。配信時代においても新録が継続し、スタンダードとしての生命力を保っている。
まとめ
映画発の歌ものとして生まれ、ジャズの現場で鍛えられた本曲は、旋律美と和声的アイデアの両立が光る一曲。演奏者にはフィールの切替やヴァンプの扱い、ソロ構築の巧拙が問われ、聴き手にはドラマティックな展開を提供する。初学者から上級者まで学びの要素が多く、今後もセッションの核として演奏され続けるだろう。