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A Weaver Of Dreams

  • 作曲: YOUNG VICTOR POPULAR
#スタンダードジャズ
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A Weaver Of Dreams - 楽譜サンプル

A Weaver Of Dreams|楽曲の特徴と歴史

基本情報

A Weaver of Dreamsは、作曲Victor Young、作詞Jack Elliottによる1951年発表のバラードで、現在では代表的なジャズ・スタンダードとして広く演奏されます。形式は32小節のAABAが一般的とされ、テンポはスローからミディアム・スイングまで幅広く選択されます。歌詞は「夢を織る織り手」という比喩を用いたロマンティックな内容で、恋の希求や心象風景を繊細に描き出します(歌詞全文は割愛)。

音楽的特徴と演奏スタイル

旋律はレガートな息遣いと自然なフレージングが映えるラインで、ボーカルは言葉のアクセントとロングトーンのコントロールが要。ハーモニーはII-V進行を基調に、転調感や代理和音が滑らかに組み込まれ、内声進行の美しさが際立ちます。ソロではテーマの抑揚を保ちながら、ガイドトーン(3rd・7th)を軸にしたメロディック・アプローチが効果的。ギターやピアノはテンション・ヴォイシングで音域を整理し、ベースはしなやかなウォーキングか、バラードでは2フィール/ルバートで陰影を与えると良いでしょう。

歴史的背景

1950年代初頭のアメリカで生まれた本作は、ブロードウェイ系の叙情性とジャズの即興美学が折り重なる時代感を反映しています。映画音楽分野でも多作で知られるVictor Youngの優美な和声語法が、ジャズ・クラブのレパートリーに自然に定着しました。出版年は1951年とされますが、初出録音の詳細は情報不明です。とはいえ、楽曲の汎用性と歌詞の普遍性が相まって、ほどなく多数の演奏家に取り上げられるようになりました。

有名な演奏・録音

ジョン・コルトレーンのColtrane’s Sound(録音1960、発売1964)に収録された演奏は、端正なテーマ解釈と緊張感のあるソロで知られます。ギタリストのグラント・グリーンはGreen Street(1961)で取り上げ、シンプルなトリオ編成でハーモニーの美点を鮮明に提示しました。これらを嚆矢として、多くのサックス奏者、ピアニスト、ボーカリストがレパートリーに加え、バラード・スタディの標準曲として定着しています。

現代における評価と影響

今日でも、A Weaver of Dreamsはセッションや音楽教育の現場で頻繁に扱われます。歌唱では「言葉の運び」と「呼吸」の練習曲として、器楽ではガイドトーン・ラインと転回形ボイシングの運用練習として有用。編成を問わず映える設計は、スタンダードの模範例として評価され続けています。また、過度な技巧よりも歌心を重んじる解釈が歓迎され、演奏者の成熟度を映す一曲として地位を保っています。

まとめ

A Weaver of Dreamsは、甘美な旋律と滑らかな和声が魅力のジャズ・スタンダードです。1951年の誕生以来、歌と器楽の双方で息の長い支持を獲得し、名手たちの録音を通じて現在も生き続けています。フォームの明瞭さと表現幅の広さは、学習者からプロまでに開かれた懐の深さの証。ロマンティックな世界観と洗練された書法は、これからも多くの演奏者とリスナーを惹きつけるでしょう。