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On The Sunny Side Of The Street
- 作曲: MC HUGH JIMMY

On The Sunny Side Of The Street - 楽譜サンプル
On The Sunny Side Of The Street|楽曲の特徴と歴史
基本情報
1930年、作曲ジミー・マクヒュー、作詞ドロシー・フィールズによってブロードウェイのレヴュー『International Revue』のために書かれた楽曲。のちにポピュラー/ジャズ双方で広く取り上げられ、今日では代表的なジャズ・スタンダードとして定着している。軽やかなメロディと希望に満ちた歌詞内容が世代を超えて親しまれ、数多くの歌手・ジャズ奏者のレパートリーに組み込まれてきた。
音楽的特徴と演奏スタイル
形式は32小節AABA。明快なメロディと循環進行を活かしたII-Vの連鎖、ブリッジの転調感が即興に適している。テンポはミディアム・スウィングが定番だが、バラードからアップまで幅広く演奏され、歌手はスキャットやフェイク、管楽器はターンアラウンドでアドリブを展開しやすい。エンディングでタグを繰り返すアレンジや、イントロでモチーフを提示する手法もよく用いられる。
歴史的背景
1929年の世界恐慌直後という時代に生まれ、歌詞が掲げる“くよくよを置いて陽の当たる側を歩こう”という前向きなメッセージが共感を呼んだ。マクヒューとフィールズは『I Can't Give You Anything but Love』や『Exactly Like You』などでも名コンビとして知られ、本曲もその系譜に位置づけられる。発表は1930年で、舞台曲として誕生後すぐにジャズの現場へ広がった。
有名な演奏・録音
録音は枚挙にいとまがない。ルイ・アームストロング、エラ・フィッツジェラルド、フランク・シナトラ、ベニー・グッドマン、ディジー・ガレスピー、カウント・ベイシーらによるヴォーカル/インスト双方の名演がしばしば言及され、スウィングからビバップまで幅広く解釈されてきた。編成も小コンボからビッグバンドまで対応し、キー選択も歌手やソリストに合わせて柔軟だ。
現代における評価と影響
現在もセッションの定番曲で、初学者のレパートリーとしても推奨される。教育現場ではAABA形式や循環の学習素材として用いられ、プロの現場ではイベント、ステージ、配信のセットリストに頻出。カバーは時代ごとにサウンドが更新され、コール&レスポンス、2ビートと4ビートの切り替え、タグ付与など、演奏上の工夫が受け継がれている。
まとめ
ブロードウェイ発のポジティブなメッセージを持つメロディは、約一世紀を経ても色褪せない。シンプルな和声設計と開放感のある旋律が、歌手・奏者双方に解釈の余地を与え、名演を生み続けていることこそ、本曲がジャズ・スタンダードとして生き残った理由と言える。初見の演奏にも適し、学習から実戦まで幅広く活躍する永遠の定番曲だ。