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Weather Report

Teen Town

  • 作曲: PASTORIUS JACO
#フュージョン
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Teen Town - 楽譜サンプル

Teen Town|楽曲の特徴と歴史

基本情報

『Teen Town』は、ベーシストのジャコ・パストリアスが作曲し、ウェザー・リポートのアルバム『Heavy Weather』(1977年)に初収録されたインストゥルメンタル。スタジオ録音ではパストリアスがベースに加えドラムも担当し、バンドの電化サウンドの中でベースが主旋律を担う画期的なトラックとして知られる。曲名の由来は情報不明だが、フュージョン史における代表的楽曲として広く認知され、音楽教育やコンテストでも頻繁に取り上げられている。

音楽的特徴と演奏スタイル

タイトな16分グルーヴと切れ味のあるシンコペーションが核。短いモチーフの反復と変奏で推進力を生み、ベースがメロディ、リフ、フィルを縦横無尽に行き来する。キーボードのシンセ・パッドやクラビ風の音色が空間を彩り、ドラムはストップ&ゴーのダイナミクスで緊張感を維持。和声はモーダル志向で、ペダルトーンに乗るコードワークが特徴的。全体はコンパクトなフォームで構成され、アーティキュレーションの明確さとリズムの精度が演奏の要点となる。

歴史的背景

1970年代後半、ジャズとロック、ファンクを融合したフュージョンが隆盛。ウェザー・リポートはその中心的存在で、『Heavy Weather』は同ジャンルの代表作となった。なかでも『Teen Town』は、エレクトリック・ベースの役割を“伴奏”から“主役”へと拡張した象徴的ナンバーであり、アンプ、シンセサイザー、スタジオ技術の進化が演奏美学を押し上げた時代の価値観を端的に示す。

有名な演奏・録音

最も広く知られるのはウェザー・リポートによるオリジナル音源。以後、同バンドのライヴでも定番曲として取り上げられ、多数のライヴ音源や映像で聴くことができる。さらに、ビクター・ウッテンをはじめ多くの著名ベーシストがカヴァーし、個々の解釈によりテンポ、フィーリング、フィルインの設計が多彩に展開。教育現場やコンテストの課題曲としても定着している。

現代における評価と影響

『Teen Town』は、ベースが旋律とグルーヴを同時に牽引する設計、コンパクトな構成に凝縮されたアイデア、機能的なアンサンブルの見本として高評価を得る。録音から数十年を経てもカバーや解析動画が途切れず、ベーシストにとって技術と音楽性の両面を鍛える“定点”となっている。フュージョンのみならずポップやロックのプロダクションにも、低音域の語り口を豊かにする示唆を与え続けている。

まとめ

シンプルなモチーフから生まれる圧倒的な推進力と、ベース主導の革新。『Teen Town』は、演奏者のリズム精度と音価のコントロールが音楽的説得力を左右する一曲だ。初めて聴くなら『Heavy Weather』のスタジオ版が最適。ベースの存在感とアンサンブル設計の妙を体感でき、フュージョンの魅力と可能性を明快に示してくれる。