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Stompin' At The Savoy
- 作曲: GOODMAN BENNY, SAMPSON EDGAR M, WEBB CHICK WILLIAM

Stompin' At The Savoy - 楽譜サンプル
Stompin' At The Savoy|楽曲の特徴と歴史
基本情報
「Stompin' At The Savoy」は、ベニー・グッドマン、エドガー・サンプソン、チック・ウェッブの名がクレジットされたジャズ・スタンダード。1930年代のスウィング黄金期に生まれ、ハーレムの名舞踏場サヴォイ・ボールルームに捧げられた楽曲として知られる。形式は32小節のAABA、ダンスと即興が両立する設計が特徴。作詞者は情報不明、初出年は1934とされる。
音楽的特徴と演奏スタイル
軽快な4ビートのスウィング・グルーヴに、呼応するリフと明快なメロディが重なるのが核。Aセクションはリフ主体で推進力を作り、B(ブリッジ)でツー・ファイブ進行やセカンダリー・ドミナントが連鎖し和声的な起伏を与える。アンサンブルのブレイクやショット、ソロ回しに適したスペースが多く、テンポは中速からアップテンポまで幅広く選ばれる。ビッグバンドでもスモール・コンボでも映え、スウィング・ダンスとの相性も抜群だ。
歴史的背景
作曲の中心人物とされるエドガー・サンプソンは、チック・ウェッブ楽団のサックス奏者/編曲家。彼が在籍したバンドがサヴォイ・ボールルームで人気を博す中で本曲が生まれた。1930年代半ば、ベニー・グッドマン楽団がレパートリーに加えたことで全米的に浸透し、スウィング・ムーブメントを象徴する一曲となった。タイトルは会場の熱狂的な“Stompin’”=踊り弾む雰囲気を指す。
有名な演奏・録音
初期の代表はチック・ウェッブ楽団による録音(1934)。続いてベニー・グッドマン楽団の演奏が広く知られ、彼の小編成グループでも取り上げられた。以後、多くのビッグバンドやジャズ・コンボが定番曲として継承し、インストゥルメンタルのみならず、歌詞付きヴァージョンも演奏されてきた。映画や特定の映像作品での使用は情報不明。
現代における評価と影響
本曲はセッションの常套曲としてジャズ教育現場の教材にも採用され、リズム・セクションのスウィング感やブラスのリフ・ワークを学ぶ格好の素材となっている。リンディホップやバルボアなどスウィング・ダンスのイベントでも定番で、ダンサーとバンドが相互に高め合う構図を現在に伝える。アレンジ自由度の高さから、伝統的ビッグバンド、モダンなコンボ、ストレートアヘッドな四重奏まで、幅広い編成で生き続けている。
まとめ
ダンスフロアの熱狂を音楽に結晶化した「Stompin' At The Savoy」は、簡潔なリフと躍動的ハーモニー、即興の余地というジャズの要諦を兼備する。誕生から数十年を経ても色あせず、学習者からトッププロまでを魅了する普遍的スタンダードである。