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アランフェス協奏曲 Concierto de Aranjuez

  • 作曲: RODRIGO VIDRE JOAQUIN
#クラシック
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アランフェス協奏曲 Concierto de Aranjuez - 楽譜サンプル

アランフェス協奏曲 Concierto de Aranjuez|作品の特徴と歴史

基本情報

アランフェス協奏曲は、スペインの作曲家ホアキン・ロドリーゴが1939年に書いた、ギターと管弦楽のための協奏曲。ニ長調、全3楽章構成で、独奏ギターとオーケストラが対話的に進行する。題名はマドリード近郊アランフェスの王宮と庭園に由来し、風景と情感を音楽に昇華した作品として知られる。

音楽的特徴と表現

最大の聴きどころは第2楽章アダージョ。哀愁を帯びたイングリッシュホルンの旋律に、ギターが和声と装飾で寄り添い、静かな激情を築く。周囲を彩る弦のトレモロや木管の受け渡しが繊細な陰影を生み、独奏の繊細さとオーケストラの厚みが絶妙に均衡する。快活な第1楽章と舞曲的な終楽章は、リズムの推進力とスペイン的色彩感が鮮やかだ。

歴史的背景

作曲はスペイン内戦終結後の1939年。ロドリーゴは宮廷の庭園での想起や、スペインの伝統舞曲の気分を背景に据え、ギターを協奏曲の主役へと押し上げた。初演は1940年に行われ、高い評価を獲得。以後、ギター協奏曲の代表作として世界各地で演奏されるようになった。

使用された映画・舞台(該当時)

第2楽章の旋律は映画や映像作品でもしばしば引用され、英国映画『ブラス!』(1996)ではフリューゲルホルンの独奏で印象的に用いられた。その他の具体的な作品名は情報不明。舞台音楽としての直接的な書下ろしではなく、独立したコンサート用作品である。

現代における評価と影響

名演として、ジュリアン・ブリーム、ジョン・ウィリアムズ、ナルシソ・イェペスらの録音が定評を得る。第2楽章はマイルス・デイヴィス『スケッチズ・オブ・スペイン』で大胆に編曲され、ジャンルを越えて知られた。パコ・デ・ルシアの演奏も広く親しまれている。ギターとオーケストラの可能性を拡張した金字塔として、教育現場からコンサートホールまで定番の地位を保つ。

まとめ

ギターとオーケストラの対話、スペインの情感、抒情と躍動のコントラスト――その三点が本作の核である。まず第2楽章で旋律線と和声の呼応を味わい、続いて第1・第3楽章でリズムの推進力とソロのテクスチュアを聴き比べると、作品像が立体的に見えてくる。入門にも再発見にも適した不朽の名作だ。