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52nd Street Theme

  • 作曲: MONK THELONIOUS S
#スタンダードジャズ
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52nd Street Theme - 楽譜サンプル

52nd Street Theme|楽曲の特徴と歴史

基本情報

『52nd Street Theme』は、ピアニスト兼作曲家セロニアス・モンクの代表的なビバップ曲で、歌詞を持たないジャズ・スタンダードに位置づけられる。タイトルはニューヨークの繁華街「52丁目」に由来。初演年や出版年は情報不明だが、セッション現場でしばしば開演・終演の合図として用いられてきた。モンク作品らしく、短い主題でバンド全体の集中を高める実務的な機能を備える点が特徴で、編成やテンポを問わず取り上げやすい。

音楽的特徴と演奏スタイル

鋭角的で跳躍の多い主題、アクセントの強いリズム処理など、モンクらしい硬質なフレーズが核。テンポは中速から高速まで幅広く、ヘッド—ソロ—ヘッドというオーソドックスな構成で演奏されることが多い。ホーンのユニゾンでテーマを明確に提示し、ドラムのキックやブレイクで合図を交わす。終盤にタグ(反復的な締めフレーズ)を付ける演出も一般的で、現場の状況に応じてコーラス数やエンディングを柔軟に調整できる。

歴史的背景

曲名が示す52丁目は、1940年代にジャズ・クラブが密集したマンハッタンの中心地。ビバップ台頭期の象徴的な場所であり、モンクをはじめ多くの革新的ミュージシャンが出入りした。『52nd Street Theme』はその文化的熱気を反映する小粋なテーマとして、当時の現場で機能的に使われた。ビバップのスピード感と都会的な洗練を、短いモチーフで凝縮している点に歴史的意義がある。具体的な初出の日時・会場は情報不明。

有名な演奏・録音

モンク自身によるスタジオおよびライヴ録音が複数残されているほか、ディジー・ガレスピー楽団やチャーリー・パーカー、バド・パウエル、マイルス・デイヴィスらの舞台・放送音源で終演テーマとして頻繁に登場。バンドのカラーに応じてテンポやイントロ/エンディングが多様に変化するため、決定的な一例で語り尽くすのが難しいタイプの曲でもある。初出盤や特定年の代表録音は情報不明。

現代における評価と影響

今日でもジャム・セッションで汎用性が高く、エンディングの合図や呼吸を合わせる訓練曲として好まれる。教材や実用譜面にも採録され、モンク作品の中でも比較的取り回しのよいナンバーとして定着。短いヘッドで集中力を引き上げる構造は、クラブからコンサートホールまで場面を選ばない。ニューヨークのジャズ文化を想起させる象徴的タイトルは、観客への挨拶代わりの一曲としても重宝される。

まとめ

『52nd Street Theme』は、モンクの個性と52丁目の歴史的空気を凝縮した機能的テーマ。歌詞はなく、端的な旋律と明確な合図性がセッションを引き締める。詳細な初演年などは情報不明ながら、世代や編成を超えて演奏され続ける、実務性と芸術性を兼備したジャズ・スタンダードである。都市的で機敏なムードは、ビバップの精神を今なお聴き手と演奏者に伝えている。