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Aisha
- 作曲: TYNER MC COY

Aisha - 楽譜サンプル
Aisha|楽曲の特徴と歴史
基本情報
「Aisha」はピアニスト、マッコイ・タイナーが作曲したインストゥルメンタル曲で、初出はジョン・コルトレーンのアルバム『Olé Coltrane』(Atlantic, 1961)。静謐なバラード調で、タイナーの抒情性を際立たせるナンバー。曲名の由来は情報不明。
音楽的特徴と演奏スタイル
旋律はシンプルで広い音域をたどり、和声はモーダル志向。タイナー特有のクォータル・ヴォイシング(4度堆積和音)やペダルポイントが清澄な響きを作る。リズムは過度に煽らず、余白を活かしたダイナミクスでソロを支えるのが特徴。ホーンの歌心とピアノの透明感が好対照をなす。
歴史的背景
録音当時の1961年は、コルトレーンがAtlantic最終期からImpulse!移籍へ向かう過渡期。『Olé Coltrane』のセッションは二重ベースを含む編成で、アフロ/モーダルの探究が進んだ時期だった。タイナーの作曲は、拡張する即興語彙の中で旋律美と静けさを保つ方向性を静かに示している。
有名な演奏・録音
代表的演奏は初出テイク(John Coltrane, Eric Dolphy, Freddie Hubbard, McCoy Tyner, Reggie Workman, Art Davis, Elvin Jones)。アルバムはAtlantic Recordsから発表され、同時期の実験的志向と抒情性の両面を示す重要作として評価される。その他の網羅的なカバー情報は情報不明。
現代における評価と影響
今日、「Aisha」はタイナーの叙情面を学ぶ教材として言及され、モーダルなバラードにおける伴奏法、音色設計、ホーンのフレージングの参照例として取り上げられる。配信サービスやリイシューにより再発見が進み、タイナー作曲の幅広さを知る手掛かりとして聴かれている。
まとめ
端正な旋律と澄明な和声が魅力の「Aisha」は、激しい革新期に生まれた静かな名品。作曲者の個性と当時の歴史的文脈の両方を汲み取れる一曲として、今なお聴く価値が高い。初出の『Olé Coltrane』を通し、演奏全体の呼吸と音空間を味わいたい。