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CAUSE WE'VE ENDED AS LOVSRS

  • 作曲: WONDER STEVIE
#R&B
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CAUSE WE'VE ENDED AS LOVSRS - 楽譜サンプル

CAUSE WE'VE ENDED AS LOVSRS|楽曲の特徴と歴史

基本情報

『CAUSE WE'VE ENDED AS LOVSRS』は、スティーヴィー・ワンダー作曲のバラード。初出は1974年、シリータのアルバム『Stevie Wonder Presents: Syreeta』で、当時は歌入りで発表された。一方、世界的にはギタリスト、ジェフ・ベックが1975年のアルバム『Blow by Blow』で披露したインストゥルメンタル版で広く知られる。プロデューサーはジョージ・マーティン。作詞者は情報不明。以降、楽曲自体は歌詞付き・インスト両形態で演奏されている。

音楽的特徴と演奏スタイル

旋律美を前面に出したスロー・バラードで、短調系の和声進行と“間”の活かし方が肝要。ベック版ではボリューム奏法やサステイン、繊細なビブラート、半音階的な装飾音を駆使し、人の声のような抒情をギターで描く。ダイナミクスの起伏が大きく、静謐な主題からクライマックスへ段階的に高める構成が魅力。リズムはレイドバック気味で、ベースとキーボードが厚みを与え、ソロは旋律の変奏として展開される。歌唱版はメロディの言葉との親和性が際立ち、ソウル的な感情表現が核となる。

歴史的背景

ワンダーは1970年代前半、他アーティストへの楽曲提供を積極化しており、本作もその文脈に位置づけられる。ジェフ・ベックとの交流は『Talking Book』期の共演を経て深まり、『Blow by Blow』では本作を含むワンダー提供曲が重要な核となった。なお、ベックの録音はギタリストのロイ・ブキャナンに捧げられているとされ、ブルース/ソウル由来の叙情性を受け継いだ名演として評価を確立した。原曲はシリータの歌唱によって発表され、その後インストとして独自の生命を獲得した点も特筆に値する。

有名な演奏・録音

代表的な音源は、シリータ(1974年、歌入り)とジェフ・ベック(1975年、インスト)。ベックは以後のライヴでもたびたび取り上げ、2008年の『Live at Ronnie Scott’s』などで決定版ともいえる表現を示した。スタジオ版ではキーボードの多層テクスチャが情景を広げ、ライヴでは音量・トーン・サステインを即興的に操り、楽曲の感情曲線を再構築している。映画やテレビでの顕著な使用については情報不明。

現代における評価と影響

本作はロック/フュージョン系ギタリストにとっての抒情バラードの模範として位置づけられ、音色設計とフレージングの教材としてもしばしば参照される。原曲が持つソウル・バラードの感性は、歌入り・インストの双方に適合し、編成やテンポを変えても核心が損なわれにくい。結果として、コンサートの中盤を彩るスロー・ナンバーや追悼演奏のレパートリーとして定着している。録音技術やダイナミクス設計の観点からも、時代を超えて研究対象となっている。

まとめ

スティーヴィー・ワンダーの優れたソングライティングと、ジェフ・ベックの表現力が交差したことで、歌ものとインストの二つの顔を持つ名曲となった。旋律の歌わせ方、ダイナミクスの設計、音色の選択という三点を意識して聴くと、作品の核心がより鮮明に浮かび上がる。