あなたのポケットにスタンダードの楽譜集をソングブック12keyに移調できる楽譜アプリ「ソングブック」

アーティスト情報なし

Softly As In A Morning Sunrise

  • 作曲: ROMBERG SIGMUND
#スタンダードジャズ
App StoreからダウンロードGoogle Playで手に入れよう
← 楽曲一覧に戻る

Softly As In A Morning Sunrise - 楽譜サンプル

Softly As In A Morning Sunrise|楽曲の特徴と歴史

基本情報

「Softly As In A Morning Sunrise」は、作曲Sigmund Romberg、作詞Oscar Hammerstein II によるオペレッタ『The New Moon』(1928年)出身の楽曲。現在はジャズ・スタンダードとして最も広く演奏される一曲で、32小節のAABA形式、短調で取り上げられることが多い。原曲には歌詞が存在するが、ジャズの現場では器楽演奏が主流で、セッションの定番曲として定着している。

音楽的特徴と演奏スタイル

Aセクションは短調の特徴的なモチーフと循環的なII–V進行が連なり、Bセクションで和声が転換して緊張と解放を作る。ミディアム~アップテンポのスウィングが一般的だが、ラテンやボサノヴァのフィールに置き換えるアレンジも多い。イントロにペダルやオスティナートを配し、ソロはコーダで4ビートに畳み掛けるなど構成面の自由度が高い。モード的なアプローチやリハーモナイズ(トライトーン置換やサブドミナント・マイナーの拡張)との相性も良く、即興の教材として優れている。

歴史的背景

本曲は1928年のブロードウェイ・オペレッタに端を発し、すぐにダンスバンドやビッグバンドのレパートリーに浸透。戦後のモダン・ジャズ期には、小編成コンボでのアドリブ向け素材として重宝され、ライブ・クラブ文化の中で「歌から器楽」への転用を象徴する存在となった。原曲の叙情性とマイナー調の陰影が、ジャズの表現語彙に自然に接続したことがスタンダード化の大きな要因である。

有名な演奏・録音

代表例として、Sonny Rollins『A Night at the Village Vanguard』(1957)やJohn Coltrane Quartet『Live at the Village Vanguard』(1961)が挙げられる。いずれもライブの緊張感の中でフォームの回転を推進力に変え、曲のポテンシャルを決定づけた名演として評価が高い。また、Modern Jazz Quartetをはじめとする多くのグループが繰り返し取り上げ、スウィングからハード・バップに至る演奏語法の変遷を映し出してきた。

現代における評価と影響

現在も音大やワークショップ、ジャム・セッションの定番教材。メロディの明快さと和声の適度な複雑さが、スケール選択、モチーフ展開、リズム置換といった即興技法の学習に適する。配信時代にはテンポ、グルーヴ、編成の異なる無数の解釈が存在し、プレイヤーが自身の語法を試す「キャンバス」として機能している。

まとめ

オペレッタ発の旋律美と、ジャズが要請する即興性が高密度に交差する稀有な一曲。歴史と名演に学びつつ、自身の解釈で更新していける普遍的なスタンダードである。