Ba-lue Bolivar Ba-lues-are
- 作曲: MONK THELONIOUS S

Ba-lue Bolivar Ba-lues-are - 楽譜サンプル
Ba-lue Bolivar Ba-lues-are|楽曲の特徴と歴史
基本情報
「Ba-lue Bolivar Ba-lues-are」は、セロニアス・モンク作のインストゥルメンタル楽曲。ブルース形式のジャズ・ナンバーで、歌詞は存在しない。初出はRiversideから発表されたアルバム『Brilliant Corners』(1957年、1956年録音)で、モンクの中期を代表する一曲として知られる。タイトル表記は資料により揺れがあるが、本稿では原表記に準拠する。
音楽的特徴と演奏スタイル
12小節ブルースを枠組みにしつつ、モンク特有の角ばった旋律線、意表を突く休符、半音階的な装飾音が要所で響く。テーマはシンプルだが和声は屈折し、オルタードや全音階的色彩を含むボイシングがピアノに現れる。テンポは中庸からややスローで演奏されることが多く、ヘッド—ソロ—ヘッドという直截な構成が主流。リズム・セクションはスウィングの推進力を保ちつつ、後拍を強調するコンピングでブルースの土臭さとモダンさを両立させる。アドリブでは、テーマ由来の短いリズム動機を展開し、内声のぶつかりや間の使い方で表情を作るのが聴きどころだ。
歴史的背景
本作はモンクがRiverside在籍期に集中的に書いたオリジナルのひとつで、同時期の「Brilliant Corners」「Pannonica」などと並び、彼の作曲語法が結晶化した時期の成果と位置づけられる。題名は言葉遊び(“Blue Bolivar Blues Are” と読める)として知られるが、固有名詞「Bolivar」の由来や命名意図の詳細は情報不明。モンクのブルース観を示す端的な例として研究・演奏の対象となってきた。
有名な演奏・録音
初出音源は『Brilliant Corners』に収められ、同アルバムのセッション参加者にはソニー・ロリンズ(ts)、アーニー・ヘンリー(as)、オスカー・ペティフォード(b)、マックス・ローチ(ds)らが名を連ねる。以降、モンク関連の再発盤やコンピレーションにも収録され、彼のレパートリーを知る入口として参照されることが多い。その他の代表的カバーや映画・番組での使用情報は情報不明。
現代における評価と影響
モンク作品の中でも実践的なブルース教材として評価が高く、音大やワークショップで取り上げられる機会が多い。アドリブではテーマのリズム断片を動機化し、シンプルなブルース進行に対して外側のテンションやサブスティテュートをどう配するかが鍵となるため、プレイヤーの創造性を強く刺激する。レコーディングやセッションのレパートリーにも定着し、モダン・ジャズの語彙を学ぶ格好の手掛かりとなっている。
まとめ
12小節の親しみやすさとモンク流のねじれた美学が一体化した、奥行きのあるブルース。初出録音を軸に、構造とリズム処理、独特の和声感に耳を澄ませれば、本作の魅力とモンクの作曲術がより立体的に浮かび上がる。