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Backstage Sally

  • 作曲: SHORTER WAYNE
#スタンダードジャズ
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Backstage Sally - 楽譜サンプル

Backstage Sally|楽曲の特徴と歴史

基本情報

Backstage Sally は、テナーサックス奏者・作曲家ウェイン・ショーターが手がけたインストゥルメンタル曲。最もよく知られる録音は、アート・ブレイキー&ザ・ジャズ・メッセンジャーズによる Blue Note レーベルのアルバム『Buhaina's Delight』収録テイクです。同作は1961年に録音され、ショーター在籍期メッセンジャーズのレパートリーを代表する一曲として認知されています。作詞者は存在せず、歌詞もありません。調性や正式な出版年などの細部は情報不明ですが、ハード・バップ期のショーター流コンポジションの魅力を凝縮した作品として位置づけられています。

音楽的特徴と演奏スタイル

躍動感あるスウィングと歯切れ良いホーン・リフが核となり、フロントのユニゾン/ハーモニーがきっちりとしたキメを作るのが特徴です。テーマ提示後は各奏者の即興ソロが展開し、ピアノのコンピングとウォーキング・ベース、ブレイキーの推進力あるドラミングが全体を牽引。ショーターらしい簡潔で覚えやすい主題の裏で、和声は適度にスパイスが効いており、リフ主体の明快さとモダンな語彙が共存します。典型的な構成はヘッド—ソロ—ヘッドで、バンドによりドラムとのフォー・バースなどが加えられることもありますが、基本的にはコンボ編成での機動力を活かしたストレートアヘッドな演奏が好まれます。

歴史的背景

ショーターは1959年ごろからメッセンジャーズの中核を担い、作編曲面でもバンドを牽引しました。Backstage Sally が収められた『Buhaina's Delight』期は、フロントにトランペット/テナーサックス/トロンボーンを擁する強力な布陣で、ショーターのオリジナルが多数取り上げられた時代です。タイトルの由来やモデルとなった人物については情報不明ですが、クラブ現場で機能する書法と、アルバムで映える構成感の両立は、この時期のショーター作品に共通する美点といえます。

有名な演奏・録音

決定的な音源はアート・ブレイキー&ザ・ジャズ・メッセンジャーズ『Buhaina's Delight』(Blue Note)収録テイクです。キメの明瞭さ、各ソロの推進力、バンド全体のダイナミズムが高水準で結実しています。以降もメッセンジャーズ関連のライブ音源や、同曲をレパートリーに取り入れた小編成コンボによる演奏が確認できますが、初出スタジオ・テイクの存在感は依然として大きく、作品理解の基準点として参照されます。その他の詳細な再録一覧は情報不明です。

現代における評価と影響

Backstage Sally は、ハード・バップの文脈におけるショーター初期の作曲語法を知る好例として評価されます。キャッチーな主題と堅固なフォーム、即興を映えさせるリフ構築は、コンボ・アレンジの教科書的要素を備えており、メッセンジャーズ期ショーター作品を掘り下げる際の重要レパートリーです。今日でも、ショーターの多面的な作曲家像—叙情から抽象性まで—を理解するうえで、現場志向の端正な設計を体感できる一曲として言及され続けています。

まとめ

ウェイン・ショーター作曲の Backstage Sally は、メッセンジャーズ黄金期のエネルギーと作編曲の巧みさを同時に味わえるインストゥルメンタル。まずは『Buhaina's Delight』収録の演奏で、主題のキレ、ソロの推進力、リズム・セクションの一体感を確認すると、曲の設計意図が自然と浮かび上がるはずです。発表年など一部情報不明の点はあるものの、作品自体の完成度と普遍的な魅力は、現在もジャズファンと演奏家の間で確かな支持を得ています。