あなたのポケットにスタンダードの楽譜集をソングブック12keyに移調できる楽譜アプリ「ソングブック」

アーティスト情報なし

Best Things In Life Are Free

  • 作曲: DE SYLVA B G,BROWN LEW,HENDERSON RAY
#スタンダードジャズ
App StoreからダウンロードGoogle Playで手に入れよう
← 楽曲一覧に戻る

Best Things In Life Are Free - 楽譜サンプル

Best Things In Life Are Free|楽曲の特徴と歴史

基本情報

「Best Things In Life Are Free」は、B. G. DeSylva/Lew Brown(作詞)とRay Henderson(作曲)のチームによって、1927年のブロードウェイ・ミュージカル『Good News』のために書かれたポピュラー曲。のちにジャズ・スタンダードとしても親しまれ、20世紀アメリカ流行歌の重要レパートリーに数えられる。タイトルの示す価値観—お金では買えない喜び—が作品全体のメッセージと響き合い、舞台・映画・録音の各メディアを通じて長く歌い継がれてきた。

音楽的特徴と演奏スタイル

旋律は覚えやすく、明快なトニック志向と滑らかなステップ進行が魅力。ハーモニーは同時代のブロードウェイ歌曲に典型的な機能和声を基盤とし、スウィングやボサ・ノヴァ風への置換など多様な編曲に耐える柔軟性を備える。テンポは中庸からやや軽快な設定が好まれ、ボーカルでは歌詞の自然なアクセントを生かしたレガートと軽やかなスウィング感が鍵。インストゥルメンタルではテーマの歌心を保ちつつ、コンパクトなアドリブで旋律美を際立たせるアプローチが一般的である。

歴史的背景

1920年代後半、デ・シルヴァ/ブラウン/ヘンダーソンはブロードウェイで数多くのヒットを生んだ黄金トリオ。『Good News』はカレッジ・ミュージカルの典型として人気を博し、その中で「Best Things In Life Are Free」は軽やかなユーモアと時代感覚を備えた楽曲として観客に受け入れられた。景気拡張期のアメリカで、物質的繁栄への風刺と人間的喜びの称揚を両立させた歌詞が時代の空気を映し、後年のリバイバルでも普遍的なテーマとして共感を集め続けた。

有名な演奏・録音

本曲は『Good News』の舞台版・映画版で繰り返し取り上げられ、サウンドトラックやキャスト録音で広く知られるようになった。1956年には、作家トリオの半生を描く伝記映画『The Best Things in Life Are Free』でも題名曲として扱われ、改めて注目を集める契機となった。以降、ジャズ・ボーカルやビッグバンド、室内編成まで多岐にわたる形で録音が重ねられており、スタンダード集の中でも頻度の高い選曲の一つとして位置づけられている。

現代における評価と影響

今日ではグレイト・アメリカン・ソングブックの重要曲として、教育現場やジャズのセッション、リサイタルで定番化。歌詞の普遍性から、コマーシャルや舞台の引用でも適合性が高い。一方、1990年代以降の同名異曲(別作家によるポップ・ヒット)も存在するため、検索や資料参照時には年代・作家名と併記して識別するのが有効である。アレンジの自由度が高いことから、現代的ハーモナイズやクロスオーバー企画でも再解釈が進んでいる。

まとめ

「Best Things In Life Are Free」は、1927年の舞台発祥ながら時代を超えて愛される名曲。簡潔で口ずさみやすい旋律と、価値観を直球で伝える歌詞が普遍性を支え、映画・録音・ライブでの継続的な再演に結びついた。スタンダードとしての懐の深さは、編曲や演奏解釈の幅広さにも表れており、今後も新しい聴き手に向けて更新され続けるだろう。