THINGS AIN'T WHAT THEY USED TO BE
- 作曲: ELLINGTON MERCER

THINGS AIN'T WHAT THEY USED TO BE - 楽譜サンプル
THINGS AIN'T WHAT THEY USED TO BE|楽曲の特徴と歴史
基本情報
「THINGS AIN'T WHAT THEY USED TO BE」は、ELLINGTON MERCER(マーサー・エリントン)作曲によるジャズ・スタンダード。1941年にデューク・エリントン楽団のレパートリーとして登場し、以後ビッグバンドから小編成まで幅広く演奏されてきた。主にインストゥルメンタルとして親しまれ、12小節ブルースの典型例として教育現場やセッションでも定番となっている。
音楽的特徴と演奏スタイル
楽曲はシンプルな12小節ブルースを土台に、耳に残るリフ主体のテーマとコール&レスポンスが特徴。スウィングのグルーヴに乗せてソリストが自在にブルーノートやクロマチックを織り込み、ミディアムからアップテンポまで幅広いテンポで機能する。ビッグバンドではサックス・セクションのユニゾンやシャウト・コーラスが映え、小編成ではヘッド・ソロ・ヘッドの構成が一般的。シンプルな進行ながら、リズムの置き方やダイナミクスで表情が大きく変わる。
歴史的背景
1940年代初頭、エリントン楽団は洗練とブルース感覚を兼ね備えたレパートリーを拡充しており、本曲もその文脈で生まれた代表作の一つ。初出は1941年とされ、ダンスホールからコンサート・ステージまで幅広い場で演奏されるうちに普及した。タイトルは印象的だが、楽曲自体は器楽曲として作られ、歌詞の有無については情報不明である。結果として、時代や編成を超えて解釈の自由度が高い曲として演奏家に愛されてきた。
有名な演奏・録音
デューク・エリントン楽団による初期録音は定評があり、ジョニー・ホッジスらサクソフォンの名手をフィーチャーした演奏でも知られる。小編成ではオスカー・ピーターソン・トリオが『Night Train』で取り上げ、スウィンギーな名演として人気が高い。ほかにもマーサー・エリントンやカウント・ベイシー楽団など、多数のアーティストが録音を残しており、ビッグバンドとコンボの双方でレパートリーの核を成す。
現代における評価と影響
シンプルなフォームながら表現の幅が大きく、アドリブの発想力やタイム感を磨く教材として重宝される。ジャム・セッションの定番曲として現在も頻繁に取り上げられ、ビッグバンドのコンサートでも観客を巻き込むナンバーとして定着。録音・配信のカタログも豊富で、世代やスタイルを超えて演奏継承が続いている。初心者にとって取り組みやすく、上級者にとっては語法の深みを探れる格好の素材だ。
まとめ
「THINGS AIN'T WHAT THEY USED TO BE」は、12小節ブルースの魅力を端的に示す永遠のスタンダードである。1941年の誕生以来、編成やテンポを問わず活きる汎用性と、印象的なリフが支持を集めてきた。セッションの入口からコンサートの目玉まで、多様な場面で機能するこの曲は、ジャズの基礎と表現の奥行きを同時に学べる重要レパートリーと言える。