アーティスト情報なし
Someday My Prince Will Come(白雪姫)
- 作曲: CHURCHILL FRANK E

Someday My Prince Will Come(白雪姫) - 楽譜サンプル
Someday My Prince Will Come(白雪姫)|楽曲の特徴と歴史
基本情報
Someday My Prince Will Come(日本題:いつか王子様が)は、作曲CHURCHILL FRANK E(フランク・E・チャーチル)、作詞Larry Moreyにより、1937年公開のディズニー長編アニメーション映画「白雪姫」に登場した歌。映画の文脈では白雪姫の切なる願いを託すラブソングであり、のちに映画を離れて独立したスタンダードとしても親しまれている。3拍子のワルツに乗る抒情的な旋律が特徴で、歌ものとしての魅力と器楽曲としての発展性を併せ持つ。原初は映画歌曲だが、時を経てジャズ・レパートリーの中核へと定着した。
音楽的特徴と演奏スタイル
柔らかなワルツ(3/4)にのる流麗なメロディは、跳躍と順次進行がバランスよく配され、歌詞の憧憬を自然に喚起する設計がなされている。和声は主調内の落ち着きを保ちつつ、要所で色彩を与える進行が配され、ジャズ演奏ではテンション付加や置換和音により豊かに拡張される。テンポはバラードからミディアム・ワルツまで幅広く、ピアノ・トリオ、小編成コンボ、ボーカル・バージョンのいずれも定番。アドリブではメロディの装飾とフレージングの呼吸感が聴きどころで、3拍子の推進力をどう保つかが演奏者の腕の見せ所となる。
歴史的背景
「白雪姫」はディズニー初の長編アニメーションとして1937年に公開され、音楽面でも高い評価を獲得した。チャーチルは映画全体の音楽言語を形づくり、Moreyの歌詞とともに物語を支える主題歌群を提供。本曲は白雪姫の無垢な希望を象徴する楽曲として位置づけられ、映画の成功とともに世界的に知られるようになった。映画公開後、スクリーンを離れてコンサートやレコードで取り上げられ、やがてジャズ・ミュージシャンの解釈によって第二の生命を得ることになる。
有名な演奏・録音
決定的な転機は、Miles Davisによる1961年のアルバム「Someday My Prince Will Come」。タイトル曲として採り上げられ、モダン・ジャズにおけるワルツ解釈の金字塔とされた。他にもBill Evans、Dave Brubeck、Oscar Peterson、Herbie Hancock、Wynton Kellyらがそれぞれの語法で録音し、ピアノ・トリオやギター・トリオでも頻出。ボーカルではジャズ歌手やクロスオーバー系アーティストが取り上げ、映画起源の歌としての魅力と即興音楽としての自由さが両立する稀有なレパートリーとなっている。
現代における評価と影響
本曲はディズニーを象徴する名曲であると同時に、セッションでも愛奏されるジャズ・スタンダードとして確固たる地位を持つ。教育現場でもワルツ・フィールの基礎やメロディ処理、ダイナミクス学習の題材に選ばれることが多い。映像やコンサートでの再演も絶えず、世代やジャンルを横断してカバーが続くことで、物語性と普遍的な旋律美が改めて確認されている。映画文脈とジャズ文脈の双方で価値を持つ点が、長寿命の理由といえる。
まとめ
Someday My Prince Will Comeは、映画「白雪姫」に根差したラブソングでありながら、ジャズ界で独自の発展を遂げた稀有な楽曲。親しみやすい旋律、3拍子の優雅さ、解釈の余地の広さが長年の支持を支えている。オリジナルの物語性と、演奏の自由度が交差することで、今なお新たな名演が生まれ続けている。