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Goody-Goody
- 作曲: MALNECK MATT, MERCER JOHN H

Goody-Goody - 楽譜サンプル
Goody-Goody|楽曲の特徴と歴史
基本情報
「Goody-Goody」は、作曲Matty Malneck、作詞Johnny Mercerによる1936年発表のスウィング時代を代表するジャズ・スタンダード。軽妙な皮肉と洒脱な言葉遊びで知られ、ヴォーカル曲として広く親しまれてきた。版権・初演の詳細は情報不明だが、ビッグバンドのレパートリーとして定着し、現在もジャム・セッションやステージで頻繁に取り上げられる。
音楽的特徴と演奏スタイル
形式は典型的な32小節AABA。中速〜アップテンポのスウィングが基本で、4ビートの推進力に乗せた軽やかなメロディが耳に残る。歌詞は相手の失恋を“いい気味だ”と茶化す機知に富む内容で、ヴォーカルはスタッカート気味のアクセント、言葉の切れ、間合いが肝要。Bセクションでは和声とメロディの色合いがわずかに変わり、フックとしての機能を果たす。アレンジではコール&レスポンス、ブレイク、リフの受け渡しが効果的で、ビッグバンドではブラスのシャウト、スモール・コンボではギターやピアノの軽妙なコンピングが映える。テンポや転調の有無は編曲次第で幅がある。
歴史的背景
1930年代半ば、アメリカのポピュラー音楽はスウィング黄金期に突入。ラジオ放送とダンスホール文化の拡大により、巧みな語感とユーモアを武器にしたジョニー・マーサーの作風が広く支持を得た。本曲もその潮流の中で生まれ、恋の報いを軽やかに祝うユーモラスな視点が、当時の娯楽性と相性よく受け入れられた。作編曲の柔軟性と口ずさみやすい旋律が、長期的なスタンダード化を後押しした。
有名な演奏・録音
初期にはベニー・グッドマン楽団がレパートリーに取り入れ、スウィング・ナンバーとして普及。後年ではエラ・フィッツジェラルドが「Ella Fitzgerald Sings the Johnny Mercer Song Book」(1964)で名唱を残し、同曲の評価をさらに高めた。以降も多くのジャズ歌手やビッグバンド、スモール・コンボが取り上げ、録音やライヴで定番曲としての地位を維持している。特定の映画での顕著な使用は情報不明。
現代における評価と影響
「Goody-Goody」は、ユーモアとスウィング感の両立が学びやすく、教育現場やアンサンブルの教材としても重宝される。ヴォーカルのディクション練習、リズムのハネ具合、ブレイクのキメなど、基礎と表現の両面を鍛えやすい楽曲だ。テンポ設定やアドリブの構築次第で大人びた洒脱さからコミカルな軽快さまで幅広く演出でき、現代のステージでも観客の反応を得やすい。配信時代においてもカバーが継続的に発表され、スタンダードとしての生命力を保っている。
まとめ
軽快なスウィング、覚えやすい旋律、皮肉の効いた言葉遊び——「Goody-Goody」はそれらが高次に融合した永続的名曲である。1930年代の香りを残しつつ、編曲や解釈で新鮮味を保てるため、今後もジャズ・ヴォーカルの重要レパートリーとして歌い継がれていくだろう。