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I've Got You Under My Skin

  • 作曲: PORTER COLE
#スイング#スタンダードジャズ
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I've Got You Under My Skin - 楽譜サンプル

「I've Got You Under My Skin|楽曲の特徴と歴史」

基本情報

コール・ポーター作の名曲で、1936年のMGMミュージカル映画『Born to Dance』のために書かれた。劇中で女優ヴァージニア・ブルースが披露し、その後ジャズ・スタンダードとして定着。英語詞は作詞・作曲ともポーター。典型的なAABAの32小節形式で、ミディアム〜アップのスイングで取り上げられることが多い。恋の熱情を洒脱に描くテキストと都会的なハーモニーが特徴で、ヴォーカル曲として広く親しまれている。

音楽的特徴と演奏スタイル

メロディは滑らかな上昇句とシンコペーションが絡み、洒脱なコード進行が恋の昂ぶりを描く。ブリッジでは転調感と持続音で緊張を高め、最後に主題へ回帰。歌ものとしては語り口の間合いが重要で、ビッグバンドでは長いクレッシェンドとトロンボーン・ソロを核にしたアレンジが定番。小編成では4ビートでのスキャットやアドリブ・コーラスが映え、テンポ設定によりエレガントにもダンサブルにも変化する自由度がある。

歴史的背景

作曲家ポーターはブロードウェイとハリウッド双方で活躍し、洗練された詞と和声感で“アメリカン・ソングブック”を代表する存在。本曲は映画音楽として生まれながら、シーンを超えてポピュラーとジャズを架橋した。レコード産業とラジオが拡大した1930年代後半、スター歌手とダンス・オーケストラのレパートリーに入り、標準曲としての地位を固めた。映画発の作品がスタンダード化する過程を示す好例でもある。

有名な演奏・録音

最も知られるのはフランク・シナトラの1956年録音。ネルソン・リドル編曲による劇的なビルドアップが決定版とされる。エラ・フィッツジェラルドは同年の『Cole Porter Song Book』で端正かつスウィンギーに解釈。1960年代にはザ・フォー・シーズンズがポップ・アレンジでヒットさせ、以降も多くの歌手やジャズ・コンボ、ビッグバンドが定番曲として録音している。器楽版でもトロンボーンやサックスの歌心を生かした名演が多い。

現代における評価と影響

今日でもライヴやジャム・セッションで頻繁に演奏され、ヴォーカルと器楽の双方で教材的価値が高い。広告やドラマでの使用も多く、世代を超えて親しまれるレパートリーだ。作曲技法の観点では、AABA構造と巧妙なライム、クライマックス設計の模範例として研究対象となり、アレンジ面でもダイナミック・アーチの作り方の好例として引用される。結果として、古典でありながら常に再発見が続く曲となっている。

まとめ

映画発のポピュラー・ソングでありながら、ジャズの言語へと自然に溶け込み、数え切れない解釈を生んだ一曲。エレガンスと躍動を併せ持つ設計は現在も古びず、歌手にも演奏家にも挑戦と喜びを与え続ける。『I've Got You Under My Skin』は、コール・ポーターの職人芸と20世紀アメリカ音楽の粋を体現する永遠のスタンダードである。