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Blue Room

  • 作曲: RODGERS RICHARD
#スタンダードジャズ
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Blue Room - 楽譜サンプル

Blue Room|楽曲の特徴と歴史

基本情報

Blue Roomは、作曲家Richard Rodgersと作詞家Lorenz Hartの名コンビによる楽曲で、1926年のブロードウェイ・ミュージカル『The Girl Friend』のために書かれました。舞台発のポピュラー・ソングとして広まり、その後はボーカル曲としてもインストゥルメンタルとしても取り上げられ、いわゆるグレイト・アメリカン・ソングブックの一角を占める定番曲となっています。タイトルが示す柔らかな色彩感と都会的な雰囲気が特徴で、時代を超えてジャズ・ミュージシャンに愛奏され続けています。

音楽的特徴と演奏スタイル

端正な旋律線と明快な和声進行が魅力で、主調と属調の往還、循環進行、セカンダリー・ドミナントなど、スタンダードらしい語彙がバランス良く配されています。メロディは歌いやすく、アドリブではガイド・トーンを軸にスケール/アルペジオのアプローチがはまりやすい構造。テンポはミディアム・スウィングで演奏されることが多い一方、バラード的な解釈や軽やかな2ビート、モダンなリハーモナイズにも耐える懐の深さがあります。イントロやエンディングは編曲者ごとに多様で、リフ・エンディングやフェルマータを用いた締めなど、ステージ文脈に応じた設計がしやすい楽曲です。

歴史的背景

1920年代のニューヨークはミュージカルと流行歌が相互に活性化した時代で、Rodgers & Hartはそこで頭角を現しました。Blue Roomもその潮流のなかで誕生し、舞台での成功を足掛かりに楽譜出版やラジオ放送を通じて広がり、スウィング期以降はダンス・バンドや小編成のジャズ・コンボにも定着。ミュージカル由来の楽曲がジャズの語彙へ編入されていく典型例として、後世のスタンダード化のプロセスを示す作品と位置づけられます。

有名な演奏・録音

代表的な録音としては、エラ・フィッツジェラルドが『Sings the Rodgers & Hart Song Book』で取り上げた歌唱が広く知られ、ジャズ・ボーカルにおける模範的解釈の一つとされています。インストゥルメンタルでは、1950年代初頭のマイルス・デイヴィスによる録音が挙げられ、端正なメロディを活かしたモダンな語り口で人気を博しました。加えて、スウィング期のビッグバンドもレパートリーとして採用し、ダンス・バンド文脈でも親しまれています。映画やテレビでの特定の使用例は情報不明ですが、音盤史上の存在感は確かなものがあります。

現代における評価と影響

今日でも、セッションで取り上げやすいスタンダードの一つとして教育現場や実演の双方で定着。明快なフォームと和声が、初学者の基礎訓練から上級者のリハーモナイズ研究まで幅広いレベルに適合します。また、ボーカル/器楽いずれにも映えるため、ライブのセット構成で雰囲気を切り替える“色”として重宝され、スタイル横断的に再解釈され続けています。

まとめ

Blue Roomは、ブロードウェイ発の旋律美とジャズ的自由度が高い次元で融合した名曲です。歴史的背景の確かさに加え、演奏現場での汎用性がスタンダードとしての寿命を支えています。初めて取り組む際はメロディの歌心を中心に、テンポやハーモニーを少しずつ拡張し、自分なりの“ブルー”の色合いを探るとよいでしょう。