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Breeze And I

  • 作曲: LECUONA CASADO ERNESTO
#ラテン
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Breeze And I - 楽譜サンプル

「Breeze And I|楽曲の特徴と歴史」

基本情報

Breeze And I(ザ・ブリーズ・アンド・アイ)は、キューバ出身の作曲家エルネスト・レクオーナ(Ernesto Lecuona)のピアノ曲「Andalucía(アンダルシア)」を原曲とする楽曲。英語詞はAl Stillmanによって付けられ、英語タイトルで広く普及した。ボーカル曲としてもインストゥルメンタルとしても定番化し、ラテン由来の情感と流麗な旋律がジャズ/ポップ双方の現場で重宝されている。作曲年や初出の細部は情報不明。

音楽的特徴と演奏スタイル

原曲は哀愁を帯びたメロディと、アンダルシア的な下降進行(いわゆるアンダルシア・カデンツ)を核に、ハバネラやボレロ、ルンバ系のグルーヴが似合う。英語詞版では“風”をモチーフに恋情や追憶を描く表現が映え、レガートで歌い上げる解釈が多い。ジャズではラテン・リズムを基調にしつつ、スウィングへ二拍三連で移行するアレンジ、ブラスのユニゾンやストリングスを加えた華やかな音作り、アドリブでは旋律断片をモチーフ展開する手法が定番となっている。

歴史的背景

レクオーナはキューバ音楽とスペイン由来の旋法感を折衷した名匠で、「アンダルシア組曲」の一曲として生まれた本作は、のちに英語詞が付与されアメリカで広く親しまれた。ビッグバンド時代にラテン楽団とスウィング・オーケストラの双方で取り上げられ、ラテン音楽がメインストリームのポップ/ジャズに浸透する一助となった。出版年や初演に関する厳密なデータは情報不明だが、1940年代を通じてレパートリーとして定着したことは周知である。

有名な演奏・録音

代表的な録音には、Jimmy Dorsey楽団(ボブ・エバリーのヴォーカルを擁する版)、ラテン・バンドの雄Xavier Cugatの絢爛なアレンジ、1950年代に国際的ヒットを記録したCaterina Valenteの歌唱などがある。これらはラテンの色彩を保ちながらも、ポップな聴きやすさとジャズ的な洗練を両立させ、本曲の普遍性を印象づけた。以後も多くの歌手・ジャズメンが録音を重ね、標準曲集にも掲載され続けている。

現代における評価と影響

現在でもラテン・スタンダード/ジャズ・スタンダードとしてセッションで親しまれ、ボーカルとインストの双方に対応できる“汎用性の高い曲”として扱われる。映画やテレビのサウンドトラックで耳にする機会もあるが、採用作品の網羅情報は情報不明。耳に残る旋律美、ダンス音楽的な躍動、編曲次第で雰囲気を大きく変えられる柔軟性が評価の核で、教育現場やリサイタルでも選曲されることが多い。

まとめ

Breeze And Iは、クラシカルな原曲の品位と英語詞版のポップ性が融合した稀有な一曲である。ラテンの香りを保ちながら多ジャンルに橋を架け、ビッグバンドから小編成のジャズ、歌唱から器楽まで幅広く適応。時代を超えて生命力を保つスタンダードとして、今後も演奏と録音の場で受け継がれていくだろう。