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Take Five
- 作曲: DESMOND PAUL

Take Five - 楽譜サンプル
Take Five|楽曲の特徴と歴史
基本情報
作曲者はPaul Desmond(クレジット表記: DESMOND PAUL)。デイヴ・ブルーベック・カルテットが1959年のアルバム『Time Out』で初出した、5/4拍子の器楽曲。アルトサックスの端正な主題と、ドラム・ソロを核に構成される。後年Iola Brubeckによる歌詞版もあるが、代表作はインストとして知られる。
音楽的特徴と演奏スタイル
最大の要点は5/4拍子(体感は3+2)と反復するピアノ・オスティナート。クールなアルトが主題を歌い、リズム・セクションは堅牢なパルスで推進。中盤のドラム・ソロはポリリズムとダイナミクスの妙で緊張を高める。中速テンポ、過度な和声変化に依存せず、リズムと音色のコントラストで魅せる。
歴史的背景
本作は1958年の米国務省後援ツアーで触れた多様な拍節に刺激を受け、奇数拍子を探る企画作『Time Out』の中核として誕生。1959年に録音され、後にシングル化されて広く浸透した。変拍子の表現を一般聴衆へ橋渡しした象徴的楽曲として、今日まで参照され続けている。
有名な演奏・録音
決定的名演はオリジナルのデイヴ・ブルーベック・カルテット盤。ポール・デスモンドの抑制された音色と、ジョー・モレロの精緻なドラム・ソロが白眉だ。以降、多数のサクソフォニストやビッグバンドがレパートリー化。ヴォーカル版はIola Brubeckの歌詞でCarmen McRaeらが録音している。
現代における評価と影響
Take Fiveは“変拍子でも踊れる”感覚を提示し、教育現場ではリズム学習の定番教材に。広告や番組BGMでも頻繁に用いられ、ジャズ外の層へ認知を拡大した。奇数拍子のポピュラリティはフュージョンや映像音楽にも波及し、作曲・編曲の可能性を押し広げた例として評価が定着している。
まとめ
洗練された主題、堅牢なオスティナート、そして5/4のスリル。この三位一体が普遍的な吸引力を生み、Take Fiveを不朽のスタンダードへ押し上げた。入門から上級の即興研究まで、世代を超えて価値を放つ名曲である。