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Broadway Blues

  • 作曲: COLEMAN ORNETTE
#スタンダードジャズ
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Broadway Blues - 楽譜サンプル

Broadway Blues|楽曲の特徴と歴史

基本情報

「Broadway Blues」はサックス奏者・作曲家オーネット・コールマンによるインストゥルメンタルのジャズ曲。初出はAtlantic Recordsから発表されたアルバム「Change of the Century」(1960年)で、彼のクラシック・カルテットによる演奏で広く知られる。ブルースの語法に根差しつつ、伝統的なコード進行に強く依存しない設計が特徴で、現在ではジャズ・スタンダードとして扱われることが多い。歌詞は存在せず、作詞者は情報不明。

音楽的特徴と演奏スタイル

テーマは短い動機とブルーノートの抑揚で構成され、旋律がアンサンブル全体を牽引する。ソロでは定型的なコードチェンジを追うのではなく、ベースとドラムが瞬発的な反応で支え、各奏者のラインが水平的に絡み合う。これにより調性感は保ちながらも和声の束縛は緩く、メロディ主導の即興が可能になる。リズム面ではスウィングの推進力を保ちつつフレーズの長短に柔軟に対応し、拍感に生きた揺らぎを生む。実践上は、テーマのモチーフを素材化して発展させること、音域・ダイナミクスの対比で会話的な応答を作ることが効果的である。

歴史的背景

1959〜60年のコールマンは、ニューヨーク進出と共にハーモニー中心主義を相対化し、旋律と即興の自由度を拡張した。「The Shape of Jazz to Come」(1959年)に続く「Change of the Century」で語法は明確化され、「Broadway Blues」はブルース感覚と革新性の接点を示す代表曲として位置づけられた。フリージャズ勃興期における、形式と表現の再定義を象徴するトラックである。

有名な演奏・録音

代表的録音は初出アルバム「Change of the Century」。メンバーはオーネット・コールマン(アルトサックス)、ドン・チェリー(コルネット)、チャーリー・ヘイデン(ベース)、ビリー・ヒギンズ(ドラムス)。この編成は楽曲のダイナミクスと開放性を際立たせ、後続の解釈の参照点となった。その他の具体的な録音例や映像・映画での使用については情報不明。

現代における評価と影響

ブルースの語彙を保ちながら調性依存を弱めた設計は、モダン・ジャズ以降の即興語法に広く影響を与えたと評価される。セッションで取り上げられることがあり、教育現場でも旋律主導の即興を学ぶ題材として扱われる場合があるが、体系的な採用状況は情報不明。演奏者にとっては、コード譜に頼らない相互傾聴、タイムの共有、モチーフ展開を磨く格好の素材である。

まとめ

「Broadway Blues」は、ブルースの親しみやすさと自由度の高い即興を両立させた、オーネット・コールマン流ジャズの要諦を示す一曲。まずは初出録音を手掛かりに、テーマのモチーフとアンサンブルの反応性に注目して聴くことで、楽曲の核心と歴史的意義がより鮮明に立ち上がる。