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Budo

  • 作曲: DAVIS MILES, POWELL BUD
#スタンダードジャズ
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Budo - 楽譜サンプル

Budo|楽曲の特徴と歴史

基本情報

Budoは、作曲者にDAVIS MILESとPOWELL BUDがクレジットされるインストゥルメンタル曲。歌詞は存在せず(作詞者は情報不明)、マイルス・デイヴィス・ノネットによる録音がアルバム『Birth of the Cool』収録曲として広く認知されています。同アルバムは1949〜50年のセッション音源をまとめた作品で、Budoもその一環として位置づけられます。ジャンル上はジャズ、とりわけビバップとクール・ジャズの接点にあるレパートリーとして演奏家・聴衆の双方から親しまれてきました。

音楽的特徴と演奏スタイル

テンポは中速から速めで、骨格はビバップの語法に根ざしたタイトなヘッド・アレンジが特色。ノネット編成による分厚いハーモナイズと、低音域(チューバなど)を含むブラスの色彩的な配置が音響的シグネチャーを与えています。ユニゾンと対旋律の交錯、シンコペーションの効いたアクセント、ソロではライン指向の即興が展開され、全体としてクールな音色とビバップの運動性が両立。アンサンブルのまとまりと即興の推進力が、短い尺の中に凝縮されています。

歴史的背景

1940年代後半、ニューヨークのビバップ以後の流れの中で、マイルス・デイヴィスはより繊細で統制のとれたサウンドを模索しました。『Birth of the Cool』で採用されたノネットという小編成寄りのアンサンブルは、ビッグバンド的な和声色彩とコンボの機動力を兼ね備え、Budoもその美学を体現する1曲となりました。共作者バド・パウエルはビバップ期を代表するピアニストであり、ハーモニーとラインの革新性は本曲にも色濃く反映されています。

有名な演奏・録音

最もよく知られるのはマイルス・デイヴィス・ノネットによる録音で、後年の再発やコンピレーションでも継続的に紹介されてきました。スタジオ録音を核に、音色の設計と凝縮されたソロがバランスよく配置され、アルバム全体の中でも要所を担うトラックとして評価されています。他演奏家による代表的ディスコグラフィーは情報不明ですが、教育現場やセッションの題材として取り上げられることは少なくありません。

現代における評価と影響

Budoは、ビバップ由来の素材をクールなアンサンブル設計へと接続した例として、編曲・作編曲の観点からもしばしば参照されます。ホーン・ボイシングの工夫、低音域を含む管の重ね方、ソロと合奏のダイナミクス設計などは、現代ジャズの小大編成双方に応用可能な知見を提供。結果として、歴史的資料であると同時に、実演家が再学習する価値の高いレパートリーとなっています。

まとめ

Budoは、マイルス・デイヴィスとバド・パウエルの創意が交差したジャズ曲で、ビバップの運動性とクール・ジャズの音色設計が結びついた重要作です。『Birth of the Cool』における位置づけによって、単なる小品にとどまらず、アレンジと即興の理想的なバランスを示す指標となりました。歌詞は存在せず、純粋な器楽曲として、今なお分析と再演に耐える普遍性を持っています。