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アーティスト情報なし

Captain Marvel

  • 作曲: COREA CHICK
#ラテン#フュージョン
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Captain Marvel - 楽譜サンプル

Captain Marvel|楽曲の特徴と歴史

基本情報

「Captain Marvel」はCOREA CHICK(チック・コリア)作曲のインストゥルメンタル曲。アップテンポのラテン・フィールを備え、ジャズ現場で広く取り上げられる定番ナンバーとして知られる。一般に1972年録音のスタン・ゲッツ作品や、Return to Foreverの「Light as a Feather」に収められた演奏で広く認知が進んだ。歌詞はなく、アドリブ比重の高い構成が特徴で、メロディの鋭い跳躍と推進力あるリズムが耳を引く。タイトルの由来は情報不明。

音楽的特徴と演奏スタイル

多くの演奏でサンバ〜ラテン系のグルーヴが選ばれ、明快なテーマからソロへなだれ込む設計。コリア作品らしく、和声はモーダルな色合いと機能和声の転回を柔軟に行き来し、四度堆積のボイシングやカットの効いたリニアなメロディが映える。リズム隊はシンコペーションと直線的なドライヴを切り替え、ピアノはモントゥーノ的反復やリズミックなコンピングで牽引。ソロは循環進行上でのモチーフ展開が要となり、ダイナミクスの波とブレイクで緊張感を作るのが定石だ。

歴史的背景

1970年代初頭、チック・コリアはエレクトリック期を経て、ラテン/ブラジル音楽の語法をジャズに溶け込ませる探究を加速させた。Airto MoreiraやFlora Purimらとの交流が活発化し、ニューヨークのジャズ・クラブとブラジル音楽のエネルギーが交差する土壌から本曲の語彙が育った。フュージョン勃興期のスピード感と、アコースティックな機動力を併せ持つレパートリーとして、ライブ映えする曲想が支持を集めた。タイトルの命名意図は情報不明。

有名な演奏・録音

代表例として、スタン・ゲッツのアルバム「Captain Marvel」(1972年録音)が挙げられる。メンバーはStan Getz(ts)、Chick Corea(p)、Stanley Clarke(b)、Airto Moreira(perc)、Tony Williams(ds)。さらにReturn to Forever「Light as a Feather」にも収録され、アンサンブルの色合いの違いが聴き比べの妙を生む。以降、コリア自身の各種バンドや多くのジャズ奏者がライブで再演し、編成に応じたテンポ設定やイントロの工夫など、多彩な解釈が蓄積された。

現代における評価と影響

「Captain Marvel」は、ラテン・グルーヴとハーモニー運動の両輪を体得する教材的価値が高く、リズム隊のアンサンブル力やソリストの構成力を試すうってつけの楽曲として重宝される。クラブ・ギグからコンサートまで場面適応力が高く、テンポとフィールの選択でキャラクターが大きく変わるため、編曲や即興設計の自由度も評価の一因。コリア作品群のなかでも演奏頻度が高い一曲として、世代を超えて継承されている。

まとめ

チック・コリア作曲「Captain Marvel」は、鋭敏なテーマ、ラテン寄りの推進力、柔軟な和声運動が三位一体となったジャズ標準曲。1970年代初頭の創造的潮流を映しつつ、現在も多彩な編成で生命力を保ち続ける。初めて聴くならスタン・ゲッツ盤とReturn to Forever盤の対照を押さえるのが近道。タイトルの由来は情報不明だが、音楽そのものの強度が作品を時代の枠外に押し上げている。