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There Is No Greater Love
- 作曲: JONES ISHAM

There Is No Greater Love - 楽譜サンプル
There Is No Greater Love|楽曲の特徴と歴史
基本情報
1936年に作曲されたジャズ・スタンダード。作曲はIsham Jones(入力表記:JONES ISHAM)、作詞はMarty Symes。Isham Jones & His Orchestraにより紹介され、ボーカル曲として広く親しまれてきた。形式は32小節のAABA。テンポはバラードからミディアム・スウィングまで幅広く、歌物としてもインストとしても演奏される。歌詞は「どんな愛よりも偉大な愛」というテーマをめぐり、誓いと献身を柔らかい言葉で描く。
音楽的特徴と演奏スタイル
メロディは階段状の進行とアーチ状の旋律線が交錯し、シンプルながら歌心に富む。ハーモニーはII–V–I進行や副属和音が要所で現れ、ブリッジ(B)は緊張感を高めてコーダへ滑らかに回帰する。Aセクションでは2ビートのベース、ソロでは4ビートのウォーキングに移行する定石が多い。ボーカルはルバートの前奏から入るアレンジも定番。器楽ではヘッド後にコーラスを重ね、ターンアラウンドで受け渡すジャム・セッション向きの構造を持つ。
歴史的背景
スウィング黄金期の只中、ダンス・バンドの巨匠Isham Jonesが発表。彼はIt Had to Be YouやI'll See You in My Dreamsでも知られ、洗練された旋律と普遍的な和声感でポピュラーとジャズの橋渡しを担った。本曲もまた、ダンスホールからクラブ、ラジオへと広がり、歌手とジャズ・コンボ双方のレパートリーに早くから定着した。
有名な演奏・録音
初期にはIsham Jones & His Orchestraの録音がヒットの端緒となった。1936年にはBillie HolidayがTeddy Wilsonのコンボを従えた録音で名唱を残し、歌詞のロマンティシズムを決定づけた。モダン期にはMiles Davis Quintetが1956年の『The New Miles Davis Quintet』で取り上げ、軽やかなスウィングと抑制の効いたフレージングで新機軸を示した。以後、管・ピアノ・ギターの多くの名手がレパートリーに加えている。
現代における評価と影響
ジャム・セッションの定番曲として国際的に演奏頻度が高く、リードシート集にも掲載されることが多い。ボーカリストにはフレージングや歌詞解釈の教材として、インスト奏者にはII–Vライン構築とモチーフ展開の練習曲として重宝される。ブライダルやラウンジでも選曲され、時代や場面を超えて機能する“歌えるスタンダード”として評価が揺るがない。
まとめ
親しみやすい旋律と普遍的ハーモニー、そして愛を讃える明快なテーマにより、There Is No Greater Loveは誕生以来、世代とスタイルを超えて息づいてきた。歌でも器楽でも映える柔軟性こそ、本曲がスタンダードであり続ける最大の理由だ。