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Dance Of The Infidels

  • 作曲: POWELL EARL BUD
#スタンダードジャズ
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Dance Of The Infidels - 楽譜サンプル

Dance Of The Infidels|楽曲の特徴と歴史

基本情報

Dance Of The Infidelsは、ジャズ・ピアニストの巨匠バド・パウエル(Earl Bud Powell)が作曲したインストゥルメンタル曲。歌詞は存在せず、ビバップ期を代表するレパートリーとして知られます。初期の決定的な録音はブルーノートに残されたセッションに収められ、後に“The Amazing Bud Powell, Vol. 1”として広く流通。以降、多くのジャズ・ミュージシャンに演奏され、教育現場でも取り上げられる標準曲の一つとなりました。

音楽的特徴と演奏スタイル

本曲はビバップ語法に根差した精緻な旋律線と、推進力のあるリズムが核。ヘッド(テーマ)では、切れ味鋭いシングルノートのラインが畳みかけるように展開し、ソロではテンションの高いアドリブが要求されます。コード進行は機能和声に基づく速いチェンジが連続し、明確なフレージングとボイスリーディングが重要。ピアノは右手のラインと左手のコンピングの対比が鍵で、スウィング感とアクセント配置の巧みさが演奏の成否を分けます。テンポ設定は中速以上で扱われることが多く、ソロの構築力とリズム・セクションの連携が試されます。

歴史的背景

1940年代後半、ニューヨークを中心に勃興したビバップは、小規模コンボ編成での高度な即興と複雑なハーモニーを特徴としました。バド・パウエルはそのピアノ表現を決定づけた中心人物の一人で、本曲も彼の作曲家・即興家としての資質を示す代表例。ブルーノートでの録音は、同時期のセッション群とともにパウエルの初期円熟期を伝える重要資料で、ピアノ・トリオ/クインテット文脈でのビバップの成熟を記録しています。

有名な演奏・録音

基準となるのは、バド・パウエルのブルーノート録音(後年“The Amazing Bud Powell, Vol. 1”として一般化)。同録音はテーマ提示の切れ味、各ソロの緊張感、終結までの構成力が高く評価され、のちの演奏解釈の土台となりました。その後もパウエル自身のライブや再録音、各種コンピレーションに収録されるなど参照機会が多く、ピアノ・トリオから小編成コンボまで幅広い形態で演奏されています。個別の他演奏者による代表盤は多数存在しますが、本記事では網羅を目的とせず、基準録音としてオリジナルを推奨します。

現代における評価と影響

Dance Of The Infidelsは、ビバップの語法を学ぶうえで格好の教材として位置付けられ、音大やワークショップでのアナライズやアドリブ課題にもしばしば採用されます。ピアノはもちろん、サックスやトランペットのレパートリーとしても定着し、ジャム・セッションでも通用する共通言語の一つ。現在でも録音・演奏が継続的に行われ、ビバップ美学の核心—リズムの推進、和声運動の明確さ、モチーフ開発—を体現する曲として評価されています。

まとめ

本曲は、バド・パウエルの作曲と演奏哲学を凝縮したビバップ標準曲。鋭敏なテーマとハーモニー、高い即興要求が同居し、学習者には実践的な課題曲として、リスナーには時代を超える緊張感とスウィングを提供します。初学者は基準録音でフレージングとリズムの置き方を確認し、中上級者はフォームの中でモチーフを発展させる構築力に注目するとよいでしょう。