Deed I Do
- 作曲: HIRSCH WALTER,ROSE FRED

Deed I Do - 楽譜サンプル
「Deed I Do|楽曲の特徴と歴史」
基本情報
「Deed I Do」は、作曲フレッド・ローズ、作詞ウォルター・ハーシュによる1926年のポピュラー曲で、現在はジャズ・スタンダードとして親しまれている。形式は典型的な32小節AABA。スイング感のあるミディアム〜アップテンポで取り上げられることが多い。原初の上演や出版の詳細、初演者、初出の調性は情報不明だが、歌入りの楽曲として広く演奏される。
音楽的特徴と演奏スタイル
メロディはAセクションで親しみやすい動機を提示し、B(ブリッジ)で音域と和声を少し広げてコントラストを作る。コード進行はII–V–Iや副属和音が中心で、終止にはターンアラウンドが置かれるため、ソロはガイドトーンの連結とスケール・アプローチで組み立てやすい。ヴォーカルは裏拍のアクセントと軽いバック・フレージングが映え、インストは4バースのトレードや最後にタグを繰り返すエンディングが好相性。テンポはミディアム・スイングが定番だが、バラード〜アップまで許容度が高い。
歴史的背景
1920年代のティン・パン・アレー由来の佳曲として生まれ、ダンス・バンドとヴォードヴィルのレパートリーを経てジャズの現場に定着した。フレッド・ローズはのちにロイ・エイカフと音楽出版社Acuff‑Roseを設立し、ポップとカントリーを横断するソングライター/出版人としても知られる。本曲自体の初演舞台や映画での初使用は情報不明だが、1920年代末には広く親しまれていた。
有名な演奏・録音
代表的な録音として、Ruth Ettingの1927年盤は早期のヒット例として重要。ビリー・ホリデイは1957年の名盤『Songs for Distingué Lovers』でしなやかなスイングとともに再解釈し、スタンダードとしての地位を強固にした。さらにBlossom Dearieの『Blossom Dearie』(1957)も洒脱なニュアンスで人気が高い。これらに続き、多くの歌手・ジャズメンがレパートリーに加えている。
現代における評価と影響
今日でもジャム・セッションやヴォーカル・レッスンの定番曲。明快なAABA構造と覚えやすいメロディ、無理のない音域は、初学者のスタート曲として有用で、同時にアーティキュレーションやスイング・フィールの磨き上げにも最適だ。アレンジ面ではテンポや拍子の換骨奪胎もしやすく、スモール・コンボからビッグバンドまで対応可能。
まとめ
「Deed I Do」は、1926年生まれの小粋な恋の歌が、時代を越えてジャズの現場で磨かれてきた一曲。親しみやすさと即興の余地を併せ持つため、聴く楽しみと演奏する喜びの双方を提供する。最初の一枚には上記の名演から、ステージではミディアム・スイングでの端正な解釈から始めると魅力が伝わりやすい。