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Dig
- 作曲: DAVIS MILES

Dig - 楽譜サンプル
Dig|楽曲の特徴と歴史
基本情報
「Dig」は、マイルス・デイヴィスが作曲したインストゥルメンタルのジャズ・ナンバー。1951年にニューヨークで録音され、Prestigeの10インチ期セッション音源として知られ、その後12インチLP『Dig』にまとめられて広く流通した。歌詞は存在せず、作詞者は情報不明。タイトルは当時のジャズ・スラング“dig(わかる・気に入る)”を想起させる。
音楽的特徴と演奏スタイル
アップテンポのブローイング・チューンとして演奏されることが多く、短いリフ型のテーマから各奏者がコーラス単位でソロを回すビバップ〜ハードバップの語法が中心。ユニゾンのヘッド、シャープなブレイク、明快なリズム・セクションの推進力が際立ち、セッションでも取り上げやすい構成を持つ。アドリブは旋律的モチーフの発展と高速のライン構築が肝要で、音数とダイナミクスの配分が聴きどころ。
歴史的背景
戦後のニューヨークでビバップ語法が普及し、録音媒体の拡大とともに新曲が次々と定着していった時期に生まれた一曲。デイヴィスは当時Prestigeでの活動を通じ、クラブの即興性をレコードに定着させる試みを進めており、「Dig」もその流れの中で記録された。初出の細部(初出盤や発売年の厳密な区分)は版によって差異があり、統一的な記載は情報不明。
有名な演奏・録音
基準となるのは1951年のPrestige録音で、後年リリースされたアルバム『Dig』や各種コンピレーション、ボックスセットに収められ、現在は配信でも容易に聴取可能。以後、多くのバンドがライヴのレパートリーに採用し、ジャム・セッションでも定番曲として扱われることが多い。バージョンによってテンポ感やヘッドの解釈に差があり、聴き比べの楽しみも大きい。
現代における評価と影響
「Dig」は、ビバップ以降の直線的で精密なラインと、ブルース感覚を両立させたハードバップ初期の手触りを学べる教材曲として評価される。テーマの簡潔さとソロ・スペースの広さが練習に適し、アンサンブルの入り方、ブレイク、ダイナミクス設計を確認する課題曲として音大やワークショップでも取り上げられる機会が多い。現在も小編成コンボの定番レパートリーとして息長く演奏されている。
まとめ
シンプルな主題と推進力のあるフォームを備えた「Dig」は、録音史の節目に位置するマイルス・デイヴィスの重要作。初期Prestige期の生々しいサウンドを通じて、当時のジャズ現場の熱量と即興のダイナミズムを体感できる。入門者にはヘッドの正確なユニゾンとコーラス構成の把握から聴き始め、各版のテンポやブレイクの違いを比較して理解を深めることを推奨する。