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Work Song

  • 作曲: ADDERLEY NATHANIEL
#スタンダードジャズ
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Work Song - 楽譜サンプル

Work Song|楽曲の特徴と歴史

基本情報

Work Songは、作曲家・コルネット奏者ナット・アダレイ(本名Nathaniel Adderley)によるジャズ・スタンダード。初出は1960年の録音で、当初は器楽曲として広まりました。その後、オスカー・ブラウンJr.が歌詞を付けたバージョンが登場し、器楽・歌唱の両面で演奏される代表曲となりました。タイトルが示す通り“労働歌”を想起させるテーマを持ち、ハード・バップからソウル・ジャズへと流れる時代感と結びついた一曲として知られます。セッション現場や教育の場でも頻繁に取り上げられ、入門曲から上級者のアドリブ素材まで幅広い層に定着しています。

音楽的特徴と演奏スタイル

楽曲は短調ブルースを基盤としたリフ主体の構成が核。ベースのオスティナートと歯切れ良いバックビートが推進力を生み、フロントはユニゾンでテーマを鳴らすアレンジが定番です。テンポはミディアムからアップまで幅があり、ソウルフルなグルーヴに乗せてブルーノートやマイナー・ペンタトニック、ドリアン指向のフレーズがよく映えます。ブレイクやコール&レスポンスを活かした合いの手、リズム・セクションのダイナミクス操作も聴きどころ。シンプルな素材ながら、アーティキュレーションとリズムの“はめ方”でキャラクターが大きく変わるため、各奏者の個性とアンサンブルの緊密さが問われます。

歴史的背景

1960年前後のジャズ・シーンは、ハード・バップの骨太さにゴスペル/R&Bの感覚を融合させたソウル・ジャズが台頭。Work Songはその潮流を象徴するレパートリーとなりました。タイトルや後年の歌詞版は、アフリカ系アメリカ人の労働歌への連想を喚起しますが、作曲動機や具体的モデルは情報不明です。器楽曲としての強烈なリフとグルーヴが核にありつつ、歌詞版の存在によって楽曲の物語性が強まり、ジャズ外のリスナーにも浸透する契機となりました。

有名な演奏・録音

ナット・アダレイのクインテットによる初期録音が広く知られ、以降キャノンボール・アダレイのグループでもステージのキラー・チューンとして頻繁に取り上げられました。歌詞版ではオスカー・ブラウンJr.自身の歌唱や、ニーナ・シモンによる録音がよく言及されます。さらに、多数のコンボやビッグバンドが編曲を施し、ギターやオルガン編成などでも定番化。各バージョンに共通するのは、リフの推進力とブルース由来の語り口で、時代や編成を超えて“グルーヴで押し切る”魅力が一貫しています。

現代における評価と影響

今日ではセッションの必修曲として定番化し、教材・リードシート集にも広く収録。シンプルな素材から多彩な表現を引き出せるため、即興の基礎練習から実戦的アンサンブルの構築まで有効です。配信時代においても新録が途絶えず、世代を超えて更新され続ける“生きたスタンダード”。ブルース感覚とソウル・ジャズのエネルギーを同時に学べる点が、今なお多くの演奏家に支持される理由と言えるでしょう。

まとめ

Work Songは、短調ブルースを核にした強靭なリフとソウルフルなグルーヴで、器楽・歌唱の両面から愛されるナット・アダレイの代表作。歴史と現場に根付いた普遍性を持ち、初学者からプロまでを魅了し続けるジャズ・スタンダードです。