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Early Autumn
- 作曲: BURNS RALPH, HERMAN WOODY

Early Autumn - 楽譜サンプル
Early Autumn|楽曲の特徴と歴史
基本情報
「Early Autumn」は作曲Ralph Burns、Woody Hermanによるジャズ・スタンダード。初出はウッディ・ハーマン楽団のインストゥルメンタルで、のちにJohnny Mercerが歌詞を付けて歌唱版としても広まった。メランコリックな旋律と豊かなハーモニーが秋の情景を喚起し、ビッグバンドから小編成、ボーカルまで幅広い形態で演奏される。ジャンルはジャズ、歌詞の全文はここでは扱わない。
音楽的特徴と演奏スタイル
テンポはバラード〜ミディアム・スロー。広い音域を使う主題は、下行する線とため息のような終止感が特徴で、内声の半音進行が微妙な陰影を与える。ソロでは過剰な装飾よりも音価とブレス、ダイナミクスの対比が要。サックスは息の混じったトーンでフレーズ末尾を柔らかく落とすと曲想に合う。ピアノは分散和音やクランチーなテンションを抑制気味に配置し、ドラマーはブラシ中心で長いサステインを支えるのが定石。歌唱版では子音を立てすぎず、語尾のレガートと間合いが表現の肝となる。
歴史的背景
本作はRalph Burnsがハーマン楽団のために書いた多楽章作品「Summer Sequence」の一節が独立して定着したもの。初演ではテナーサックスのStan Getzがフィーチャーされ、その抒情的ソロが話題となって彼の名声を押し上げた。後年、Johnny Mercerが公式に歌詞を付し、1950年代のポピュラー市場でも広範に親しまれるようになる。ビッグバンド黄金期からクール・ジャズ台頭期への橋渡しを示すレパートリーとしても位置づけられる。
有名な演奏・録音
ウッディ・ハーマン楽団のオリジナル録音(スタン・ゲッツのソロ)は決定的名演として知られる。歌唱版ではJo Staffordのヒットが代表例。スタン・ゲッツは自身の小編成でも度々取り上げ、抑制の効いた歌心で再解釈を示した。ほか、ビッグバンド再演やモダン・コンボのバラード集に頻出し、アレンジの幅広さがコレクションの聴き比べを楽しいものにしている。映画での顕著な使用は情報不明だが、ラジオやプレイリストで秋の定番として流通する機会が多い。
現代における評価と影響
今日でも「秋」をテーマにした選曲の筆頭格で、教育現場やジャムでもバラードの基礎作法を学ぶ教材として扱われる。サックス奏者にとっては音色・ビブラート・フレージングの統御を示す格好の素材であり、歌手にとっては語り口と間のコントロールを磨ける。配信時代には落ち着いたムードを演出するキュレーションで支持され、季節のプレイリストで定着している。
まとめ
「Early Autumn」は、ビッグバンド発の抒情とクールな節度が同居する稀有なスタンダード。インストから歌まで映える普遍性と、秋の空気を思わせる陰影が魅力で、入門者にも愛好家にもおすすめできる。