Exactly Like You
- 作曲: FIELDS DOROTHY,MC HUGH JIMMY

Exactly Like You - 楽譜サンプル
Exactly Like You|楽曲の特徴と歴史
基本情報
「Exactly Like You」は、ジミー・マクヒュー作曲、ドロシー・フィールズ作詞による1930年のポピュラー曲で、現在はジャズ・スタンダードとして定着している。ブロードウェイのレビュー「Lew Leslie's International Revue」で発表され、恋愛をまっすぐに讃える歌詞と覚えやすい旋律で瞬く間に広まった。シンプルで親しみやすいが、即興の余地が大きく、ボーカル/インストの双方で長く愛奏されている。
音楽的特徴と演奏スタイル
32小節のAABA形式を基本とし、明快な主題とスウィング・フィールが核。Ⅱ–Ⅴ進行を含む機能和声に基づくコード運びは、アドリブの導線を描きやすい。テンポ設定はミディアムからアップまで幅広く、ヴォーカルではレイドバックした後ノリやスキャット、インストではコーラス頭の主題提示とソロのコール&レスポンス構成が映える。キーは編成により可変で、ブラス主体ではB♭系、ギター/ピアノ主体ではFやGなども用いられる。
歴史的背景
1920年代末の不況下でも、ブロードウェイのレビュー文化は大衆娯楽として力強く生き残り、良質な歌を次々と生んだ。作詞家ドロシー・フィールズと作曲家ジミー・マクヒューは当時の黄金コンビで、「I Can't Give You Anything but Love」などと並び、本曲も代表的コラボレーションの一つと評価される。舞台発表後は出版と放送を通じてダンス・バンドに広まり、スウィング黎明期のレパートリーとして定着していった。
有名な演奏・録音
代表的な録音には、ルイ・アームストロング(1930年代)、ジャンゴ・ラインハルトとステファン・グラッペリ(1930年代後半)、ナット・キング・コール・トリオ(1940年代)などが挙げられる。いずれも編成やテンポ解釈が異なり、曲の普遍性と即興の自由度を明快に示している。スウィングから小編成コンボ、ギター・ジャズまで幅広くカバーされ、歌手・器楽奏者の双方で録音が蓄積している点が本曲の強みである。
現代における評価と影響
現在もセッション標準曲として扱われ、入門者にはフォームとスウィングの基礎を学ぶ教材として有用で、上級者にはメロディ・パラフレーズとリズム表現の練磨の場となる。歌詞は理想の相手への率直な愛情表現が中心で、観客に届きやすい。教育現場やライブの定番ナンバーとして頻繁に選曲され、時代やスタイルを越えて新解釈が生まれ続けている。
まとめ
「Exactly Like You」は、親しみやすい旋律と堅固なAABAフォームを備え、初学者からプロまでが表現と即興を磨ける稀有なスタンダードである。1930年の舞台発のポピュラー曲ながら、スウィング以降のジャズ史の中で普遍性を保ち、今日でも演奏会や録音で定着した存在感を示し続けている。歌詞の全文はここでは紹介しないが、内容の骨格は「理想のあなた」への賛歌である。