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Fever
- 作曲: COOLEY EDDIE J, DAVENPORT JOHN

Fever - 楽譜サンプル
Fever|楽曲の特徴と歴史
基本情報
「Fever」はEddie CooleyとJohn Davenport(Otis Blackwellの筆名)が作曲し、1956年にリトル・ウィリー・ジョンが最初に録音した楽曲。R&B発のナンバーながら、その後のカヴァーでジャズ・スタンダードとして定着した。恋の高ぶりを“熱”にたとえる英語詞のヴォーカル曲である。
音楽的特徴と演奏スタイル
ミディアム〜スローのテンポ、ウッドベース主体のシンプルなグルーヴ、指鳴らし(スナップ)やブラシのドラムが生む空間の広さが要。メロディは音域を抑え、間(ポーズ)とニュアンスで官能を醸す。編成は最小限でも成立し、ピアノ・トリオからビッグバンドまで多様なアレンジが可能。
歴史的背景
作曲のきっかけはR&B界のソングライティング。1956年の初出後、1958年にペギー・リーがミニマルな伴奏と新たなヴァースを加えた解釈で発表し、決定的な人気を確立した。彼女の版は恋の比喩を歴史上の恋人たちへ広げ、以降の多くのカヴァーの基盤になった。
有名な演奏・録音
代表的な録音として、リトル・ウィリー・ジョン(オリジナル)、ペギー・リー、エルヴィス・プレスリー、マドンナ、マイケル・ブーブレ、ビヨンセなど。ジャズでは多くの女性ヴォーカリストがレパートリーに採り入れ、クラブやステージで定番曲として歌い継がれている。
現代における評価と影響
「Fever」はジャンルを横断する“空白の美学”の象徴として評価される。最小限の音数で緊張感と色気を成立させる設計は、編曲・録音の教科書的参照点。広告やドラマでの使用例も多く、大衆文化の中で楽曲イメージが共有されることで、新世代のカヴァーを促している。
まとめ
R&Bに端を発し、ペギー・リーの再解釈を契機にスタンダード化した「Fever」は、簡素さゆえに解釈の余地が広い名曲。作曲者Eddie CooleyとJohn Davenportの創意が、時代ごとの歌い手の個性を照らし続け、いまもライヴや録音現場で息長く更新されている。