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Fine And Mellow

  • 作曲: HOLIDAY BILLIE
#スタンダードジャズ
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Fine And Mellow - 楽譜サンプル

Fine And Mellow|楽曲の特徴と歴史

基本情報

「Fine And Mellow」はビリー・ホリデイが1939年に作詞作曲した、ブルース由来のジャズ・スタンダード。初出はCommodore Recordsの録音。歌詞を伴い、恋愛の痛みと官能を冷ややかな視点で描く。ヴォーカルのみならずサックス奏者にも愛奏され、キーやテンポは演者により可変だが、概してスロー〜ミディアムのスウィングで演奏される。

音楽的特徴と演奏スタイル

12小節ブルースを土台にした簡潔な和声進行とAAB型のフレーズが核。声とホーンのコール&レスポンス、間合いを生かしたリズム、ブルーノートや微妙なピッチの揺れが表情を作る。イントロでルバートを置き、テーマからスウィングに移る演奏も多い。ソロは音数よりニュアンス重視が定石。

歴史的背景

1939年、ホリデイはコンモドア録音を通じて表現の自由を得ており、本作もその時期の産物。社会派曲「Strange Fruit」と同年ながら、こちらは私的なブルースの語法で人間関係の真実を示した。ビッグバンドより小編成コンボでの内省的な表現が好まれ、以後のジャズ・ヴォーカル美学に影響した。

有名な演奏・録音

オリジナルの1939年盤に加え、1957年の米テレビ番組「The Sound of Jazz」でのライヴは特筆的。ホリデイの歌に、レスター・ヤングやコールマン・ホーキンスらが応答し、成熟した対話の醍醐味を示した名演として広く語り継がれる。ホリデイは50年代にも再演を重ね、その後も多くの歌手・管楽器奏者がレパートリーに取り入れている。

現代における評価と影響

本曲はブルース解釈の教科書的存在として、教育現場やジャムで定番化。具体的ながら普遍性ある歌詞は、時代やジェンダーを越えて再解釈が可能だ。ソロ構築、音空間の使い方、ダイナミクスなど表現の核心を学べる曲として重宝され、録音・映像資料の研究対象にもなっている。

まとめ

簡素な12小節に感情の陰影と人間関係のリアリティを凝縮した「Fine And Mellow」は、ホリデイの作家性とジャズの本質を示す一曲。初期録音からテレビ中継の名演まで、時代を超えて更新され続けるスタンダードである。