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Flying Home

  • 作曲: GOODMAN BENNY, HAMPTON LIONEL
#スイング#スタンダードジャズ
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Flying Home - 楽譜サンプル

Flying Home|楽曲の特徴と歴史

基本情報

「Flying Home」は、Benny GoodmanとLionel Hamptonによるジャズ・スタンダード。1939年にグッドマンのスモール・グループで取り上げられ、スウィング時代を代表するインストゥルメンタルとして定着した。軽快なテンポと耳に残るリフ、ソリストのアドリブが映える構成が特徴で、特にテナーサックスの見せ場が多い。作詞者および歌詞の有無については情報不明であり、一般にはインスト曲として認知されている。タイトルの由来や命名経緯についても確定的資料は情報不明。

音楽的特徴と演奏スタイル

アップテンポのスウィング・フィールを基調に、ブラスとサックス・セクションのコール&レスポンス、リフの反復、シャウト・コーラスによる高揚感が核となる。テーマは明快で、ソロ・コーラスに入るとブルース・ライクなフレーズや“ホンキング”気味のドライヴ感ある音色が効果的。リズム・セクションは4ビートの推進力を重視し、ウォーキング・ベースとライド・シンバルでダンサーを意識したスウィング感を作る。終盤はライドアウトで熱量を一気に押し上げるアレンジが好まれる。

歴史的背景

1930年代後半、スウィング・ブームの只中にあったグッドマンの小編成ユニットで誕生。ライオネル・ハンプトンのヴィブラフォンがサウンドの要となり、スモール・グループにおける先鋭的なインタープレイの例として注目された。1940年代に入るとビッグバンドやジャム・セッションの定番レパートリーとなり、戦時下のエンターテインメント需要と相まって人気が拡大。テナーサックスのアグレッシブなアドリブは、後年のR&B的語法にも影響を及ぼしたと評価される。

有名な演奏・録音

初期の決定的録音として、Benny Goodmanのスモール・グループによる1939年のテイクが挙げられる。続いてLionel Hampton楽団は本曲を看板ナンバー化し、テナーサックスのIllinois Jacquetが披露したエネルギッシュなソロは歴史的名演として広く知られる。1940年代のJazz at the Philharmonicでも度々取り上げられ、豪快なテナー・バトルの舞台となった。さらにエラ・フィッツジェラルドによるスキャット・ヴァージョンなど、ヴォーカル的発想を取り入れた拡張も行われ、後年まで多くのアーティストが取り上げている。

現代における評価と影響

「Flying Home」は、スウィングの躍動感、リフ・ベースのアレンジ、即興の熱気を一曲で示せる教材的レパートリーとして、ビッグバンドやコンボの定番に位置づけられている。特にテナーサックス奏者にとって、アタック感とグルーヴの作り方を学べる“通過儀礼”的ナンバーであり、R&B〜ロックンロール初期のサックス表現につながる橋渡しの曲としても語られる。現在もコンサートのアンコールやダンス・イベントで映える楽曲として高い需要を保っている。

まとめ

GoodmanとHamptonのコラボレーションから生まれた「Flying Home」は、スウィングの快感、ソロの爆発力、アンサンブルの巧みさを兼ね備える名曲。歴史的名演を通じてジャズの表現領域を広げ、テナーサックスの語法を更新した功績は大きい。インストゥルメンタルとしての完成度の高さゆえに、世代や編成を超えて演奏され続けるスタンダードである。