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Fools Rush In
- 作曲: BLOOM RUBE, MERCER JOHN H

Fools Rush In - 楽譜サンプル
Fools Rush In|楽曲の特徴と歴史
基本情報
Fools Rush In(副題: Where Angels Fear to Tread)は、作曲ルーブ・ブルーム、作詞ジョニー・マーサーによる1940年発表のポピュラー/ジャズ・スタンダード。恋に臆せず飛び込む「愚かさ」を逆説的に讃える歌詞を持つボーカル曲で、AABAの32小節形式として広く知られる。現在もジャムセッションやヴォーカル・レパートリーの定番。
音楽的特徴と演奏スタイル
滑らかに上行する旋律と、ブリッジで気分転換する構成が聴きどころ。テンポはバラードからミディアム・スウィングまで幅広く、歌ものではレガートなフレージングと自然なルバート、ジャズ演奏では内声のクロマティシズムやリハーモナイズが映える。歌詞は用心深い「天使」と無鉄砲な「愚者」を対比し、恋のときめきと危うさを同時に描く。
歴史的背景
第二次世界大戦前夜、ダンス・バンドがラジオとレコードを席巻した1940年、複数の楽団が競作してヒットを記録。名作詞家マーサーが生んだウィットに富む言葉と、ブルームの端正な旋律が相まって、ティン・パン・アレー期の美意識を体現する一曲となった。以後、ポップとジャズの橋渡し的存在として歌い継がれてきた。
有名な演奏・録音
初期の代表は、トミー・ドーシー楽団による録音(ヴォーカル:フランク・シナトラ/ザ・パイド・パイパーズ)と、グレン・ミラー楽団(ヴォーカル:レイ・エバリー)。いずれも1940年のヒットとして知られる。1963年にはリッキー・ネルソンがロック寄りの解釈で再ヒットさせ、ジェームス・バートンのエコーを効かせたギターが印象を更新した。以後も多数のシンガーやジャズ・ミュージシャンが取り上げている。
現代における評価と影響
英語圏のスタンダード集やコンサートでの定番曲となり、ボーカリストの解釈力や伴奏のダイナミクスを試す教材としても重宝される。ロマンティックな歌詞と普遍的な旋律は、年代やジャンルを超えて親しまれ、レストランやブライダルのレパートリーにも適合。映画やドラマでの顕著な使用例は情報不明だが、文化的認知度は高い。
まとめ
Fools Rush Inは、簡潔な形式の中に言葉の機知と旋律美を凝縮した名曲。1940年代スウィング時代の遺産であり、現代でも多様なアレンジで生き続ける。初期のビッグバンド録音とリッキー・ネルソン版を聴き比べれば、本曲の懐の深さが実感できるだろう。