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Goodbye
- 作曲: JENKINS GORDON

Goodbye - 楽譜サンプル
Goodbye|楽曲の特徴と歴史
基本情報
ゴードン・ジェンキンス作曲の「Goodbye」は、1935年に発表された哀愁のバラードで、のちにベニー・グッドマン楽団のクロージング・テーマとして定着した。歌詞付きでも演奏されるが、本記事では歌詞全文は扱わない。作詞者は情報不明。ビッグバンドから小編成、独奏まで幅広い形態で親しまれるジャズ・スタンダードである。
音楽的特徴と演奏スタイル
静かなテンポと陰影ある旋律線が特徴。半音階的な進行と豊かな和声が切なさを強調し、歌唱では息のコントロールと長いレガート、器楽ではサステインと微細なダイナミクスが要となる。導入にルバートのソロや間を活かしたブレイクを置くアレンジも多く、ビッグバンドではクラリネットやサックスのユニゾンが主旋律を支える版が定番だ。
歴史的背景
スウィング黄金期に登場した本作は、ラジオとダンスホール文化の拡大とともに広く浸透した。特にグッドマンがコンサートや放送の締めで用いたことで象徴的な存在となり、静かな余韻を残す“お開きの曲”というイメージが確立。第二次大戦後もモダン・ジャズ以降に受け継がれ、歌手・器楽奏者の双方でレパートリーとして生き続けた。
有名な演奏・録音
代表例として、ベニー・グッドマン楽団による各時期の録音が挙げられる。落ち着いたテンポ設定と端正なフレージングは、のちの演奏の規範となった。また、多数の歌手やジャズ奏者がアルバムに収めており、バラード集の要曲として配されることも多い。具体的な録音の年や編成の違いが聴きどころだ。
現代における評価と影響
「Goodbye」は、ライブの終演や夜のセットを締める雰囲気作りに重宝される一方、音大やジャズ教育の現場でもバラード解釈の教材として活用される。シンプルに聴こえつつ、息遣い・音色・間合いの妙で表情が大きく変わるため、演奏家の成熟度が映るナンバーとして現在も評価が高い。
まとめ
哀感に満ちた旋律と静かな余韻で愛されてきた「Goodbye」。1935年の誕生以来、ジャズ史の節目を見守るように演奏され続け、今日でもステージや録音で存在感を放つ。歌でも器楽でも成り立つ普遍性こそが、本作をスタンダードたらしめる最大の理由だろう。