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Happiness Is A Thing Called Joe
- 作曲: ARLEN HAROLD, HARBURG E Y

Happiness Is A Thing Called Joe - 楽譜サンプル
Happiness Is A Thing Called Joe|楽曲の特徴と歴史
基本情報
「Happiness Is A Thing Called Joe」は、作曲ハロルド・アーレン、作詞E.Y.ハーバーグによる1943年の楽曲。MGMのミュージカル映画『Cabin in the Sky』のために書かれ、劇中ではエセル・ウォーターズが印象的に歌唱した。公開当時、第16回アカデミー賞で歌曲賞にノミネートされ、のちにアメリカン・スタンダードとして広く親しまれるようになった。
音楽的特徴と演奏スタイル
穏やかなテンポのバラードで、豊かな和声進行と伸びやかな旋律が特徴。歌詞は“ジョー”という最愛の人への献身と安心感をうたい、語り口の柔らかさが情感を深める。ジャズではルバート気味の導入からスウィングへ移る構成や、繊細なダイナミクスでテキストを生かすヴォーカル解釈が好まれる。キーやテンポは歌手・編曲者により可変である。
歴史的背景
同曲は、アーレンとハーバーグの黄金コンビが『オズの魔法使い』に続いて手掛けた作品群の一つ。『Cabin in the Sky』は当時としては稀少なブラック・キャスト主体のミュージカル映画で、本曲は家庭的な温かさと信仰にも通じる慰めを描く要のバラードとして位置づけられた。戦時下のアメリカで、等身大の幸福感を示す歌として受容された。
有名な演奏・録音
初演の顔であるエセル・ウォーターズの映画版は基準となる解釈として語り継がれる。以後、エラ・フィッツジェラルドが『Harold Arlen Song Book』で録音し、ジャズ・ヴォーカルの定番に定着。器楽によるバラード・アレンジも多数生まれ、ピアノ・トリオやサックスによるしっとりとした語り口で取り上げられている。
現代における評価と影響
今日ではグレイト・アメリカン・ソングブックの一篇として、コンサート、クラブ、音楽教育の現場で広く歌われる。恋人への静かな賛歌という普遍的テーマのため、世代やジャンルを超えて選曲されやすく、映画起源でありながら独立したスタンダードとして生命力を保ち続けている。著名コンピレーションにも度々収録される。
まとめ
映画発の抒情的バラードとして生まれ、豊かな旋律と言葉の親密さで永続的な魅力を獲得した一曲。歌と伴奏の呼吸を大切に、シンプルな構成で深い感情を伝える好例として、今後も歌い継がれていくだろう。