Perdido
- 作曲: TIZOL JUAN

Perdido - 楽譜サンプル
Perdido|楽曲の特徴と歴史
基本情報
Juan Tizol作曲のPerdidoは、デューク・エリントン楽団のレパートリーから広まったジャズ・スタンダード。タイトルはスペイン語で「失われた」の意。形式は一般的な32小節AABAで、ミディアム〜アップのスウィングで演奏されることが多い。英語詞はErvin DrakeとHans Lengsfelderによって後年付けられ、歌唱版も存在するが、器楽演奏で取り上げられる機会が特に多い。初出や出版年の厳密な特定は資料差があり、正確な年は情報不明。
音楽的特徴と演奏スタイル
シンプルで耳に残るリフとI–vi–ii–V進行を核にしたAセクション、ブリッジでの循環と転調感が特徴。主題はコール&レスポンスに適し、アンサンブルのリフ・ビルドやシャウト・コーラスへ展開しやすい。テンポはミディアム・ファストが定番だが、スロー・スウィングやラテン・フィールへの置換も可能。ヴォーカルではスキャットの即興素材として相性がよく、器楽ではブルース・フィールからビバップ語彙まで幅広いアプローチを受け止める。
歴史的背景
プエルトリコ出身のトロンボーン奏者Juan Tizolは、エリントン楽団在籍中に本曲を作曲。「Caravan」と並ぶ代表作として40年代前半のビッグバンド・シーンで急速に浸透した。シンプルな和声と明快な主題はジャム・セッションに理想的で、やがてビバップ期にも継承され、アドリブの入門曲としても位置づけられるようになる。録音・出版の細部年次には異同があり、厳密な確定情報は情報不明。
有名な演奏・録音
デューク・エリントン楽団による初期の録音がスタンダード化の端緒となり、その後、多くのビッグバンドや小編成コンボが取り上げた。ヴォーカルではエラ・フィッツジェラルドがスキャットを交えた名演を複数残し、器楽面ではジャム・セッションでの長尺ソロの好素材として愛用されている。個別テイクの決定版や詳細年次については資料によって記述が異なり、統一的な特定は情報不明。
現代における評価と影響
今日でも世界のセッションで頻繁に取り上げられ、入門者からプロまで即興練習の定番。アレンジの自由度が高く、ビッグバンド教材から小編成のレパートリー、ヴォーカルのショウケースまで用途が広い点が評価される。リフ主体の構造はライブでのインタラクションを促し、教育現場でもフォーム理解とスウィング・フィール習得に有効とされる。
まとめ
Perdidoは、覚えやすい主題と汎用性の高いコード進行により、時代と編成を超えて愛されてきたジャズ・スタンダードである。歴史的詳細の一部は情報不明ながら、エリントン楽団由来の名曲として、演奏現場と教育の双方で今後も重要な位置を占め続けるだろう。